仮面ライダーZと凶獣ドーパントとの壮絶な戦い

小説・エッセイ

公開日:2013/1/9

小説 仮面ライダーW 〜Zを継ぐ者〜

ハード : PC/iPhone/iPad 発売元 : 講談社
ジャンル:小説・エッセイ 購入元:電子文庫パブリ
著者名:三条陸 価格:668円

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夏に東京都美術館の特撮ドラマ展を見に行った。

おもに「ウルトラマン」を中心にした特撮テレビの小道具や衣装などの展示で、ちょっと高揚したのであったが、なかに資材置き場を模した一室があり、ゴジラの原寸ぬいぐるみが飾ってあった。ときめいた。ほしい、というより、中に住みたいと思った。

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55年生まれの私は、好まざるに関わりなく、「ゴジラの子」なのであった。

私たちの一世代下が「仮面ライダー」派なのだろう。もうその頃には「ぬいぐるみ&変身」文化に興味を失っていたので、あまりはっきりと分からないのであるけれど、「トオー」とかいってベルトの風車が回ると、ライダーに変身するのだ。仮面ライダーは風力発電だったのだろうか。

善と悪の渦巻く巨大都市、風都。そこには、ガイアメモリを刺して超人的な力を得たドーパントが出没していた。凶悪な怪物だ。ふだんは探偵事務所を営んでいる「僕」フィリップは、友人の左翔太郎に意識を合体させ、残虐なドーパントたちと日夜闘っている。

ある日、絶世の美少女禅堂寺香澄が事務所を訪れ、禅堂寺家の守りを依頼する。一家は、父・惣治、長男・俊英、その妻・朝美、長女・麗子、次女・香澄だ。フィリップが駆けつけた後まもなく、鵺のごとく奇怪な姿をしたドーパントが出現し、家族は危機に陥る。フィリップたちはこの化け物を、動物のさまざまな形態を取り込んでいることからズー・ドーパントと名づけ、過酷な戦いの中へと入っていくのだった。

うーん、ちょっと文章が苦手だった。言葉の流れというものにあまり頓着せず、すべて情報の提出という形で、切れ切れに綴っている。デジタルなのだ。情報も言葉もデジタルに並べられていく。ただこれは、テレビゲームのドラマチックと似ているのではあるまいか。そのことの善し悪しは別にして、ある年代の少年のときめきをそそることは確かだろう。

今ひとつ、物語が禅堂寺家の内部へと移ったあたりから、ミステリーの定番である「館もの」形を取っているのは忘れてはいけない。とりどりのキャラクターの人々の、なにやら緊迫感を漂わせる生活の裏に、隠されたもうひとつのドラマを探っていく伏線は、スリルを生み出している。


ドーパントの戦いはいつも苛烈だ

戦いに応じて変身スタイルを変える

戦いが終われば意識を切り離しフィリップは事務所で覚醒する