どんでん返しの結末が織り成す、事件の真実とは!?

小説・エッセイ

公開日:2013/5/29

殺人初心者 民間科学捜査員・桐野真衣

ハード : PC/iPhone/Android 発売元 : 文藝春秋
ジャンル: 購入元:BookLive!
著者名:秦建日子 価格:669円

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作品の中で、登場人物のキャラ付けがとても明確に描かれているので、主人公・真衣を囲むその他の人物もちゃんと作中で起こる事件に活かされています。

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その為、第1章でいきなり犯人(名前などは勿論明かされぬまま)と対立する真衣が描かれていたはずなのに、その「犯人は誰だ?」というサスペンスならではの視点を完全に忘れ、中盤まではただただ物語に夢中になってしまいました。

ですがおいおい、物語を通してそのような肝心なことを(良い意味で)忘れてしまっていたことにハッと気付かされるあたりや、最終章で待っている「サスペンス」だと認識せざるを得ないような真実、そして“読者騙し”の仕掛けには、あっぱれでした。

これが狙いでした! と言わんばかりのどんでん返しに心をグッと掴まれます! そして何より、脚本家としても活躍される秦さんだけに、勝手に映像が頭に浮かんでくるような巧みな言葉遣いで、誰が読んでも熟読できるような作品であるため、とても読みやすく、続編はないかな? なんて思える読後感です。

心に刺激を、民間科学捜査員という職業の知識を、想像が映像となり頭に残る感覚をこの作品を読んで皆さんも共感して下さい!


序盤、こんなインパクトで読者の気を引っ張っていく。Kとは? こんな疑問さえ、登場人物たちのキャラ付けの良さでラストまで忘れてしまいます。(だけど記憶に深く刻まれているため、最後急にドンッ! と繋がるんです! その気持ち良さがなんともいえません!)

民間科学捜査員という民間の科捜研をちゃんと知れたのも良かったです。警察が自殺と判断した事件であっても、民間の殺人初心者の真衣だからこそ“殺人事件”だと気づく事ができます。そう知れるのもこの作品の魅力です!

“先回りの朝倉”こと、朝倉健太が独自に開発したという「指紋照合アプリ」も登場! こうして物語の中で現代っぽさを感じることができるのも新鮮!
(C)秦建日子/文藝春秋