ブックオフ創業者にして、俺の株式会社社長! 坂本孝に学ぶ経営の極意とは?

公開日:2013/8/16

俺のイタリアン、俺のフレンチ

ハード : iPhone/iPad/Android 発売元 : 商業界
ジャンル:趣味・実用・カルチャー 購入元:Kindleストア
著者名:坂本孝 価格:※ストアでご確認ください

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どんな職場にも、不満がある。だが、現場社員のストレスを上手に解消することで究極のビジネスモデルを作り上げた人物をご存知だろうか。それは、ブックオフコーポレーションの創設者の坂本孝。今話題のレストラン「俺のイタリアン」「俺のフレンチ」等の新たな業態を生み出した張本人だ。

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「俺の株式会社」が生み出すレストランの形態はまだ誕生して2年あまり。だが、圧倒的な集客力は連日メディアに取り上げられ、わずか16坪の「俺のイタリアン」では、2012年12月に月商1910万円の売り上げを達成したというのだから驚きだ。

ビジネスモデルはとてもシンプル。「原価をじゃぶじゃぶかけろ!」という坂本孝社長の指示通りに最高級の食材を惜しげもなく使い、ミシュランの星つきの高級店で活躍してきた料理人が腕を奮う。それを普段なら考えられない低価格で提供する。立ち食いで回転率をあげることで、原価率は30%程度という飲食業界のセオリーを破り、60%台まで原価率が上がっても利益が生まれる仕組みを生み出している。

坂本孝著『俺のイタリアン・俺のフレンチ』には、坂本の半生やこのビジネスモデルが作られた経緯、今後の展望が書かれている。特に注目すべきは、彼の考える経営のあり方だろう。彼は現場社員を顧客と同様に重んじる経営者であるのだ。

例えば、「俺の株式会社」が成功をおさめた要因のひとつとして、坂本は、「料理人に裁量権を与えたこと」をあげている。ホテルのレストランならば、年に数回しかメニューが変わらず、料理人としてのアイデアや技術を磨く場所がない。海外で得た技術、料理をお客さまに提供する場がないという料理人たちのフラストレーションを「俺の株式会社」では上手に解消している。料理人がその腕を十二分に奮うことができるように、店舗毎に裁量権を持った料理人たちがメニューを決め、互いに切磋琢磨させる。同じ社内での、各店のデータが全て分かった上での競争のため、自分の力をより磨きやすい現場となるのだと言う。坂本に言わせれば、これが大きな競争優位性のひとつとなり、参入障壁を高くすることに繋がったのだという。

大切なのは、利他の精神。客も社員も幸せになるような仕組みを考え抜くこと。人のために何かをやって、人も喜び、自分も喜ぶ。その精神を大切にした経営によって、坂本は全社員の物心両面の幸福追求を目指している。そして、夢をどれだけ全社員と共有し、「俺の株式会社」をさらに飛躍させようとしている。企業経営に悩む人は坂本孝に学ぶと良いかもしれない。ビジネスマン必読の1冊。


「俺の株式会社」は客のため、社員のための会社

社長自身は吉野家のファン。別段食通とか洋食好きというわけではない。仲間の存在が欠かせなかった

良い料理人が集まったことでどんどんメリットが出てきたんだという

社内競争を活発にすることで社員同士を切磋琢磨させ、より良い商品の提供に繋げようとしている