「GOSICK」シリーズ最新作! ヴィクトリカと一弥の名コンビが帰ってくる!
公開日:2014/1/20
「頭で考えること」と「心で感じること」の差を痛感する瞬間は数多くあるのに、心の所在は分からない。増してや、深層心理は尚更。分かるのならば、是非とも知りたいが、「アナタは心ではこう感じているはずよ」と囁かれれば、どんな事実であっても、なんとなくそんな気がしてしまう。精神分析とはそういう狡さを抱えている。
2003年に誕生、2011年にはアニメ化もされた、桜庭一樹の大人気ミステリーシリーズ「GOSICK」の待望の続編「GOSICK RED」が約2年半ぶりに刊行された。主人公・久城一弥と天才的な頭脳を持つヴィクトリカの名コンビの復活はファンにはたまらない! 灰色の髪と緑の瞳、人形と見紛うほどの美しさ。可愛らしい口から出るのは老婆のようなしわがれた声。些細なことですぐに不機嫌になるが、ホントはとても寂しがり屋。元々のファンもまだシリーズを読んだことがない人もヴィクトリカの一挙一動に心が奪われっぱなしの1冊だ。
今回の舞台は、1930年代初頭のニューヨーク。新大陸へと移り住んだ久城一弥は新聞社で働き、ヴィクトリカはグレイウルフ探偵事務所を構えていた。ある日、一弥は心の科学で人々の精神的外傷を癒すという不可思議な精神分析医へ取材に行く。その一方で、ヴィクトリカの元には、闇社会からの依頼人が訪れ、奇怪な連続殺人の解決を依頼された。一見関わりのない2つの謎が次第に絡み合い、更なる大きな事件へと繋がっていく。一体、一弥とヴィクトリカはどうなってしまうのか。2人に迫る陰謀とは何なのか。
一弥の取材した精神分析医・ボレイド博士は何とも不気味な存在だ。彼は自らの意志に反して手足が踊るように動き続ける舞踏病を患い、常に踊り続ける。「人の心になんてものは、ぐっと力を入れて曲げればどうにでも左右できる不安定なものにすぎんのだよっ」。不敵な笑みを讃えたボレイド博士の話を聞く内に患者はふっと眠くなり、ボレイド博士に深層心理を覗かれてしまう。
そんな精神分析の謎も連続殺人事件の真相もすぐに解いてしまうヴィクトリカの能力は流石だ。「どっ…どういうこと?」「いいから、君は黙って聞きたまえ!」この本でも一弥は相変わらず、気まぐれなヴィクトリカに振り回されているが、その微妙な距離感がたまらない。一弥は完全にヴィクトリカの従者。2人の関係にドキドキさせられる。
「そりゃ、この出会いは運命だもの」。2人の和やかな掛け合いと対照的に迫り来る脅威は暗く恐ろしい。「GOSICK」シリーズの元々のファンもまだ読んだことがない人もドキドキさせられること間違いなしの1冊。
今回の舞台はニューヨーク
2人の距離感にドキドキ
一弥はボレイド博士の取材へ
2人が関わった事件が合衆国全てを巻き込む事態に!?