引きこもり気味のゲーマー女子中学生が島デビュー!
更新日:2014/2/24
物語を読むときに、本当に何も予想をしないで手に取ることはないと思うんです。この『しままん』であれば、表紙にはかわいい女の子が4人いて、一番手前に立っているクールな感じの子が主人公なのかな、などと思うわけです。さらに八丈島を舞台にした作品であることもわかるので、内地の子が島の子と仲良くなっていくお話なのね、と推測しつつ読むことになります。
同じく田舎暮らしをテーマにした『のんのんびより』に当てはめると、主人公の晴(はれ)さんが蛍の立ち位置といった感じなのかな? などと当たりをつけて読み始めると、意外やミステリーっぽい要素もあったりして、気がつくと物語の世界に誘い込まれています。ミステリーといっても、人が死ぬとかそういうのではないです。島の子である名子(なご)さんと宇喜多(うきた)さんは探検隊を結成していて、ふたりが解けない謎を晴さんが解き明かしていくことでだんだんと仲良くなっていくという流れです。
ちなみに、晴さんはゲーマーで引きこもり。両親が仕事の都合で遠方に赴任するので、親戚のいる八丈島にイヤイヤやってきたという出だしです。当然のように人嫌いで、外で元気に遊ぶような子ではありません。彼女の成長というのもこの物語の柱だと思うのですが、ほんわかタッチながらも謎解きなので『氷菓』を連想してしまいました。
田舎暮らしものであり、ほのぼのミステリーであり、都会っ子の成長ものであり、女の子の友情ものでもある。というたいへん欲張りな内容なので、1巻も終わりにさしかかってようやく従姉妹の赤崎さんとの共同生活もはじまり、心が通うのかな? という感じです。まさに島時間! 絵も整っているので、美しい島の風景の中で彼女たちが活躍するのが楽しみです。
いろいろこじらせ気味の晴さん、一路八丈島へ
従姉妹との衝撃の対面!
圏外はデフォルトですね。その後、部屋の隅で電波をキャッチしますけど
名子さんと宇喜多さん、対照的なふたりは仲良しです
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