実は四十にして惑いっぱなし。迷える現代人(我;)を正す不朽の指南書

公開日:2011/10/28

『論語』入門

ハード : iPad 発売元 : AKATSUKI PRINTING INC.
ジャンル: 購入元:AppStore
著者名: 価格:500円

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「四十にして惑わず」。
人は40歳を超えれば、道理を知って迷わない。「論語」のあまりに有名な孔子の言葉である。
確かに若い時と比べ、そう簡単には惑わない自分がいる。泰然自若といえば聞こえは良いが、果たして実態はどうか…。…。…。
孔子先生。私の「四十にして不惑」はウソでした。。。

2500年前から語り継がれてきた不朽の「心の指南書」『論語』は、私のような「惑いっぱなしの現代人」の心を見透かしたように、安心立命の生き方を、静かに沁み込ませてくれます。

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行動に起こす前から、着地点を予測してしまう諦観。
波風を立てないよう、本意を決して表出しない傍観。
迷いを回避するため、異質には強く踏込まない逃観。

孔子先生。「四十にして惑わず」と、私が勘違いする理由は、ここにありました。
安全枠だからこそ成立する不惑、が実態だったのです。。。

一歩、安全枠から飛び出した途端に直面する、想定外の着地点、吹き荒れる波風、対立する異質。そんな激しい変化を前にして、地に足も着かず、心もとない現代人の私たち。

すっかり「心の骨格」を失って、右往左往する私たちを見かねてか、孔子先生は、電子書籍の世でも、メディアを超えて、諭すのです。

「仁」「義」「礼」「智」「信」の五常のコンセプト。
現代人の心の中で、急速に希釈化しつつある心の骨格こそ、国家と社会と人生を解いた儒家思想の本質。

激変の時代こそ、2500年の時空を超えて朽ちない不変の柱を座右に置く。
といってもスマフォで座右に置く(笑)。
四十でなくとも、君子でなくても、惑ってなくても…。お勧めです。


冒頭、斎藤孝先生の『ストレスフルな現代社会を「安らかに生きる」ために。「心の骨格」をつくろう』から始まり、人間孔子七十四年の生涯、渡邉美樹さん、孫正義/北尾吉孝さんら一線の経営者が語る経営と論語、論語が教える「人生の智恵」など、内容・切り口も柔らかく多彩です。目次のタイトル「逆境を泰然と生きる」は、今の私にぐっと刺さります。

指一本で、「蛍光ペン」、「本文検索」、「Web検索」、「大辞泉検索」の機能が立ち上がる。大事なところは、しっかり「心に刻みたい」は、2500年前と同じ人の情理である。

国家と国家、伝統と前衛、義と利がぶつかりたった春秋時代の中国。その激変の境目で、不遇にも泰然と生きた孔子の実践ある思想は、その後の東洋思想や日本の思想、儒教・道教・仏教の融合した日本文化に、大きな影響を与えた。