東京散策しながら著者・姜尚中氏の脳内を覗き見
更新日:2012/6/27
トーキョー・ストレンジャー
ハード : | 発売元 : 集英社 |
ジャンル:小説・エッセイ | 購入元:Amazon.co.jp/楽天ブックス |
著者名:姜尚中 | 価格:1,404円 |
※最新の価格はストアでご確認ください。 |
東京を歩きながら、著者の脳内に入り込み、彼の思考回路をたどる作品です。
日々の雑多なことに追われ東京で生活しているだけでは思い至らないことに、著者は触れていきます。場所は、明治神宮、六本木の国立新美術館、フォーシーズンズホテル丸の内、紀伊国屋ホール、浅草の三社祭、六本木ヒルズ、千鳥ヶ淵、原宿、小笠原伯爵邸、シャネル銀座店、東京証券取引所、新大久保、東京大学、しながわ水族館、神保町・古書店街、国会議事堂、築地市場などなど。
例えば、しながわ水族館。巨大水槽を悠々と泳ぐ魚達を見上げながら、著者は現代の監視社会について語ります。なるほど、そういう発想の仕方があるのですね。私だったら珍しい魚を見つけては、「すごーい、おもしろーい」とうっとりするだけでしょう…。
在日ならではの著者の視点も興味深く記述されています。それは国際社会に生きる日本人として知っておくべき基本的な教養でもあります。読みすすめていくうちに、ちょっぴり自分も教養人になったかのような錯覚に陥ります。
デビュー30周年を迎えた小泉今日子と著者の対談の中で、彼女が次のように言っています。“東京で一番好きな場所ってどこかと聞かれたら、「タクシーの中から眺める東京」ですね。それが「今の私の東京」かもしれないです”。この感性に共感しつつ、自分では上手く説明できない「なぜなら」を姜尚中の理論的な語りで肉付けした気分になりました。
それぞれの場所で撮影された著者はすらりと長身で大変なフォトジェニック。どの写真も素敵ですね。この方と肩を並べて、ぽつりぽつりと語りながら、東京を歩いてみたい。それは叶わないので、この本を片手に1人で歩いてみることにします。しばらく東京散策が楽しめそうです。
しながわ水族館にて
訪問スポット
小泉今日子との対談
※画面写真はBookLive!のものです