「貴社」と「御社」の違いは?どうやって使い分ける?/毎日雑学

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公開日:2025/1/23

「貴社」と「御社」の違いは?どうやって使い分ける?

 ビジネスシーンでよく使う「貴社」と「御社」。どちらも相手の会社に対して敬意を示す表現ですが、場面によって使い分けが必要です。「貴社」は文書などの書き言葉として、「御社」はプレゼンや面談などの話し言葉に使うのがマナーです。

 理由は「貴社」は「記者、汽車、帰社」など同音異義語が多いため、聞き間違いの可能性があるからとされています。また、「貴」は「尊い」「価値や身分が高い」という意味があり、会話では少し堅苦しい印象になりますね。

 さて、実際の場面ではいかがでしょうか。書き言葉であるメールは「貴社」がマナーですが、「御社」の文字に違和感があるでしょうか。また、面談では「御社」としましょう、とありますが、私自身、会話で「御社では…」と言われると、少々、距離を感じてしまいます。正しく使えていたとしても、その人の感性や思いが伝わってこないのです。「○○様」と会社名で呼んでくれたほうが、よほど親近感がわきます。このことは、ネームコーリング効果といって「名前」で呼ぶことで好感度を高める心理効果でもあります。

 就職活動や初めてのコンタクトではマナーを守り、それ以外では、距離を考えながらコミュニケーションをとっていくほうが現代に合っているように思います。あなたもさまざまな場面をイメージして身近な人から試してみませんか?

文=尾形圭子

尾形圭子

株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。

※提供している情報には諸説ある場合があります。ご了承ください。

<第230回に続く>

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