板垣李光人・中島裕翔でTVドラマ放送開始の『秘密-トップ・シークレット-』。死者の記憶を映像化して捜査する近未来を、清水玲子が描く【書評】

マンガ

PR 公開日:2025/1/23

秘密 -トップ・シークレット- 1清水玲子/白泉社

 死者の脳を特殊なスキャナーにかけ、その人物の生前の記憶を映像化する科学捜査「MRI捜査」が行われている近未来日本。「MRI捜査」を担う科学警察研究所法医第九研究室、通称“第九”の室長・薪と、その部下・青木は、さまざまな難事件に挑む――。

 少女マンガ界のトップランナーとして長きにわたって活躍する清水玲子氏。80年代の『月の子 MOON CHILD』、90年代の『輝夜姫』に続き、2000年代以降の代表作『秘密-トップ・シークレット-』(いずれも白泉社)が1月20日よりTVドラマ化される。天才的な頭脳と観察眼、そして際立った容姿が目を惹く薪役に板垣李光人。その同僚で、大学時代からの親友である鈴木と、後に薪の部下となる青木には中島裕翔が二役で扮する。

 ドラマの放送前に原作マンガの魅力を解説&紹介したい。

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① 薪剛(通称:薪さん)の魅力が過ぎる

美形・ツンデレ・天才という萌えの三大要素が詰まった主人公・薪。寡黙にして何事につけ秘密主義であるために、青木同様に読者である私たちにも彼の人間性が最初はよく掴めない。しかし読み進めるにつれ、次第に薪の苦悩が分かってくる。犯罪者の脳を見るMRI捜査という禁断の領域に足を踏み入れてしまったため、大切なものを失い、傷ついてきた薪。それでも第九を背負い、茨の道を歩み続ける。強さと脆さが同居して、それが魅力ともなっている薪さん。青木ならずともこの人から目が離せない!

② 「他者の秘密を見る」というタブー

作品全体に通底しているのが、事件捜査という名目のもと個人の秘密を暴くことは許されるのか? という問いかけだ。究極のプライバシーである脳の中を、たとえ死者といえども見る権利が自分たちにはあるのだろうか……と幾度も第九メンバー、特にまだ新人である青木は自問する。答えの出ない問いだからこそ、考え続けることに意味があるというかのように。このテーマは第1巻に収録されている、本編以前のエピソードである最初の短編『大統領ジョン・B・リード暗殺事件』のときからすでに掲げられている。

③ 濃厚なリアリティとドラマ性

清水玲子氏といえば、流麗な絵柄と壮大かつ緻密なストーリーがかねてより高く評価されている。その2つが本作では鮮やかに結合。損壊された遺体や皮を剥がされた死者など、物語の性質上、作中には凄惨な描写も登場する。それらをさながら医学図解のように正確なタッチで描き切り、乾いた恐怖と冷徹なリアリズム、さらに美しさまで醸している。猟奇的殺人や家庭内殺人、ウイルステロや大臣の娘拉致事件など、実に多彩な犯罪が発生。ストーリーが進むにつれ国家規模の大スケールな事件へと展開していく流れに、どきどきハラハラさせられる。

④ 薪と青木の関係の妙

常人離れしたところがあるため、孤高の人でもある薪。対して朗らかで健やかな好青年の青木。青木は薪の孤独さに放っておけないものを感じ、薪は青木のなかに、忘れられない親友・鈴木の面影を見いだす。上司と部下でありながら、それだけでは説明しきれない(おそらく本人たちにも不可解な)感情を互いに抱く2人は、次第にかけがえのないバディとなっていく。そこへ鈴木のかつての恋人・雪子も加わり、恋愛面でも複雑な関係に……。犯罪ドラマだけではなく、こうした人間ドラマ、恋愛ドラマの側面でも大いに読む者を惹きつける。

11巻ー191

『秘密-トップ・シークレット-』のその後を描いた『秘密 season 0』も絶賛継続中の〈秘密〉ワールド。TVドラマ「秘密~THE TOP SECRET~」が放送を開始するこのタイミングで、手にとってみるのはいかがだろう? 少女マンガにあまりなじみのない方であればあるほど、その美しさと骨太な世界観に驚愕すること間違いなしだ。

文=皆川ちか

『秘密ートップ・シークレットー』試し読みはこちら

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