覚えてる?「ごんぎつね」「ちいちゃんのかげおくり」…国語の教科書で読んだ物語16篇をまとめ読み『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作』
PR 公開日:2025/1/24

大人になって忘れてしまった子ども心を、これほど瞬時に取り戻せる書籍はあるのか。書籍『もう一度読みたい 教科書の泣ける名作 新装版』(Gakken)は、老若男女を問わず、かつて小学校で親しんだ「国語の教科書」に収録された物語から「16篇の物語」をよりすぐり、各作品の作者プロフィールと共に掲載した1冊である。
冒頭、本書は「私たちは相当の数の物語を教科書で読みました」と語りかける。しかし、本当に“読んでいた”のか。
続く「教科書というと、『読まなければいけないもの』という感覚があり、物語の楽しさを十分には鑑賞できていなかったかもしれません」の文言には納得だ。本書に掲載された物語もタイトルこそ覚えているが、どのような起承転結だったのかを、まったく思い出せずにいた。
ページをめくって「もくじ」を見ると「ごんぎつね」「注文の多い料理店」、「モチモチの木」などの名作がズラリと並ぶ。



本稿筆者は41歳であるが、最初にパッと目にとまったのは、児童文学作家・あまんきみこさんの「ちいちゃんのかげおくり」だった。
恥ずかしながら、主人公が“ちいちゃん”で戦時中の話だったと、うっすら覚えている程度だったが……。しかし、本書によって物語のあらましを再確認できたのはもちろん、子どもから大人になった今、物語を捉える視点もどこか“変わったもんだな”と実感できた。
取り上げる「ちいちゃんのかげおくり」は、父、母、兄、そして、ちいちゃんの4人家族が手をつなぎ、自分の影を10秒間見つめたあと、見上げた空に影が映るという「かげおくり」をする場面からはじまる。しかし、翌日には父が出征。のちに、空襲から逃げるさなかで家族とはぐれたちいちゃんが最後、命を落とす直前に再び、幻の中で家族と再会する物語だ。
子どもの頃、この作品をきっかけに「かげおくり」をやったのも思い出したが、そんな記憶も薄れつつあった今、この物語を読むと愛する我が子を残して出征しなければならなかった父、そして、見送った母の気持ちも考えてしまう。
実際、本書の「はじめに」でも「人生の経験を積み重ねてきたからこそ、登場人物や作者の思い、また物語そのものが、より深く味わえることと思います」と綴られているが、十分にわかる。そして何より、国語の教科書に収録された物語は素朴だからこそ、時代を超えても心に刺さるのだと気付かせてくれる良書だった。

また、章の合間に掲載されているコラム「『あのころ』をふりかえる」も必見。作者の生い立ちや代表作などがまとめられており、“内容を思い出す”だけに留まらず、より深く名作を知ることができる。ぜひ一度、手に取ってみてはいかがだろうか。
文=カネコシュウヘイ