【森永卓郎さんに聞いた】「老後資金はいくら必要ですか?」→「5000万円必要です」もはや石油王と結婚するしか方法はないのか?【インタビュー】
公開日:2025/12/15
ダ・ヴィンチWebで連載していた『モリタクさんの「お金の話」もりだくさん!』があんじゅ先生(@wakanjyu321)の手によってコミカライズ。舞台は、メイドカフェ「森盛」。お金に悩める相談者たちが森永卓郎さんに助けを求めて、今日も扉を叩く。お金の悩みは人生の悩み…森永卓郎さんの回答に、あなたの人生も救われるかも…!?
※森永さんのインタビューは2024年10月に行ったものです。






1.「石油王と結婚したい人が集まり、石油王と結婚するために活動する同好会」が全国の大学に存在するという情報があるみたいです。いわゆる「玉の輿に乗る」ことを念頭に生きるメリットとデメリットについて、森永さんのお考えを教えてもらいたいです。
森永卓郎さん(以下、森永さん):個人の人生観に依存するので、「玉の輿に乗る」ことは、自分の人生をカネで売り渡すことにつながります。特に外国人と結婚するのは、生活習慣や価値観が日本人と大きく異なるので苦労が絶えません。それでも豪邸に住んだり、ブランドものを身に付けたりしたいという欲求が強い人をあえて止めようとは思いませんが、私は、自由な生き方を優先してきて、それが間違っていなかったと考えています。






2.「50年後、どのくらいの貯金があれば、ラクして生活ができるのでしょうか?」という質問に対して、森永さんの回答は「今の高齢者と同じレベルの生活をするなら5000万円必要です」という残酷なものでした。2019年に発表した金融庁の報告によると65歳時点で2000万円が必要だとされていました。しかし平均寿命が延びたり、50年後にも年金制度が維持できないかもしれない、という懸念を考える必要があるそうです。
2024年現在の高齢者の暮らしの水準は、豊かと言えるのでしょうか? 過去からの推移などもあわせて教えてもらいたいです。
森永さん:単純に公的年金の給付額だけをみれば、年金制度の成熟化にともなって増えてきているのですが、例えばかつて無償だった後期高齢者医療の窓口負担が増えたり、増税によって所得税・住民税の負担が増えたり、介護サービスの自己負担や医療費の窓口負担が増えるなど、実質的な高齢者の暮らしは毎年悪化しているのが現実です。高齢者の過半が働くようになったのも、年金だけでは生活できなくなっているからで、その傾向は今後もっと深刻になっていきます。老後の「悠々自適」はもはや死語になったと言ってもよいでしょう。





3.2024年現在の年金制度の運用について、うまくいっている点と問題があると思われる点、そして今後の見通しについて教えてください。
森永さん:年金制度の運用で唯一うまく行ったのが、年金積立金の運用です。およそ100兆円の投資が現時点では倍増しています。ただ、それは株式市場のバブルが生じたり、為替が円安になったりしたためで、今後、株式市場のバブルが崩壊したり、為替が円安になったりすれば、すべて吹き飛びます。私は、そうした事態は数年以内にやってくるとみています。そうなったら、年金給付の大幅なカットは避けられないでしょう。






4.逆に「ハイリスク・ハイリターン」の投資(投機)をするべき場合はあるのでしょうか?
森永さん:ハイリスク・ハイリターンの投資をやってもよいのは、ハイリスク・ハイリターンそのものを楽しみたいときだけです。例えば、宝くじや競馬はハイリスク・ハイリターンの典型ですが、そこに投じてよいのは、すべてを失っても生活に一切影響を与えない範囲の金額だけで、老後資金のような生活に不可欠なお金をハイリスク・ハイリターンに回すことは、絶対に避けるべきです。









5.老後資金問題は、実は2000万円では足りないかもしれず、5000万円ほど必要かもしれない、という衝撃的なお話でした。しかし、だからと言って儲け話にほいほい飛びつかず、長期的な目線で人生を考える必要があると感じました。そのひとつとしてお金のかからない趣味を持つ、というのも重要だと思います。森永さんおすすめのお金のかからない趣味を教えてください。
森永さん:趣味は一人一人の人生観にかかわるので、他人からあれこれ言うことではありませんが、私のやっているお金のかからない趣味は、①生活のなかで出たゴミを集める。例えば、ペットボトルのフタ、食品パッケージ、空き缶などのコレクション、②近隣の農地を借りたり、自宅の庭で行うマイクロ農業、③オリジナルの寓話を作る寓話作家、④歌手、⑤自然や自分のコレクションを撮影するカメラマン、⑥短歌を作る歌人、⑦ポイント集め(ポイ活)などがあります。
<第3回に続く>