どこで誰とどう飲むかで広がる酒の時間。無類の酒好きOLみっちゃんに学ぶ酒の嗜みと楽しみ【書評】

マンガ

公開日:2025/2/15

 世の中には、「お酒が好き」という人が大勢いる。ビールに焼酎、日本酒。居酒屋、宅飲み、ビアガーデン。独り飲みも気心知れた友人との飲み会も、会社の同僚との打ち上げに家族との晩酌も。いつでも、どこでも、誰と何を飲んでも美味しい! 楽しい! そんな酒好きが主人公のマンガが『のみじょし』(迂闊/竹書房)だ。

 本作の主人公・高瀬道子ことみっちゃんはとにかくお酒を飲むのが大好きな独身OL。人に比べ飲む量も多いのはもちろん、どんなシチュエーションでもお酒さえあれば、みっちゃんにとっては楽しい空間に早変わりしてしまうのだ。美味しいお酒を飲むためなら断酒も厭わない(?)、そんな究極の酒好き・みっちゃんのお酒エピソードをオムニバス形式で描いている。

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 彼女の楽しそうな飲みっぷりを見ていると、思わず「お酒が飲みたい!」と感じてしまうだろう。同時にみっちゃんのお酒を楽しむ日々を追っていると、「お酒の楽しみ方」にも実に多彩な形があることに気づくのではないだろうか。

 気の置けない友人と二人で行き慣れた居酒屋の個室でまったりサシ飲みを楽しむ日。ビアガーデンやオクトーバーフェストなど、屋外イベントで開放感をたっぷり味わう日。学生の頃に戻ったみたいに、誰かの家でだらっと美味しいものを摘まみつつ飲む日。あるいはあえてノンアルで楽しそうに飲む人たちを見守る日もあるかもしれない。

 彼女を見ていると、「お酒を楽しむ」ことは「どんなお酒を飲むか」だけでなく、誰とどんな場所で飲むかを楽しむことも大事だと感じるだろう。もちろんみっちゃんのように、すべての状況を楽しめればその分人生の楽しみは増えるが、「一人で飲むお酒が好き」「お店より宅飲みがラクでいいよね」と、自分ならではの「お酒の楽しみ方」を選べるのも、お酒の良さであり懐の深さなのだろう。

 その上で、お酒を楽しむ彼女を見ていると、いつもとは違うお酒の楽しみ方もしてみたくなる。それこそが、本作の最たる魅力なのかもしれない。さて今日あなたは、どこで、誰と、どんな風にお酒を飲む?

文=ネゴト/ 曽我美なつめ

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