大腸全摘でも美味しいものが食べたい! 難病を経験した漫画家が描く体を労り、食を楽しむ料理エッセイコミック【書評】

マンガ

公開日:2025/2/16

 食事は単なる栄養補給の手段にとどまらず、心を豊かにするものでもある。たとえ病気によって制限されることがあっても、工夫しだいで味わう楽しさや喜びを感じることはいくらだってできるのだ。

腸はなくとも食欲はある!』(島袋全優/竹書房)は、潰瘍性大腸炎で大腸を全摘した漫画家の島袋全優さんが送る至極の料理コミックエッセイ。作中では、おなかにやさしく、消化器官に負担の少ないヘルシー料理が詳しいレシピとともに紹介されている。

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 自らの手で収穫した無料食材で作るノビル味噌の卵焼きと具だくさん味噌汁。地元・沖縄への恋しさを埋める沖縄ちゃんぽんとジェネリックゆし豆腐。締め切り明けの食事は、脂質を抑えた手作り餃子にわかめと春雨の和え物、キャベツとツナのスープ。

 登場する料理は、メニュー名を読むだけでも、イラストを眺めるだけでも食欲が湧き上がる魅力的なものばかりだ。さらに、食材の選び方や、ちょっとしたテクニックなど日々の暮らしに役立つポイントも盛りだくさん。どれも家庭で簡単に作れるものばかりなので、料理初心者でも安心して挑戦できるだろう。

 一軒家の購入を夢見てお金を貯める著者は、スーパーの特売情報を素早くキャッチし、安価な食材で自炊を楽しむ日々を送っている。ごく普通の食材でも、ちょっとした工夫で豪華に見せることができるのも自炊の魅力のひとつ。著者にとって、買い物はもはやただの食料調達ではなく、まるでミッションのようにワクワクする瞬間でもあるようだ。

 料理が好きな人にとって、レシピ本をめくりながら「今日は何を作ろうかな?」と考える時間は、何よりも楽しいものだ。レシピを見て思わず胸が高鳴る、そんな瞬間が、著者の日常には溢れている。

 本書を手に取れば、あなたの食卓はさらに華やかで、心躍るものになるだろう。著者と同じように消化器系に何らかの問題を抱える人はもちろん、健康を意識しながら自炊の楽しみたい人にもぴったりの作品だ。

文=ネゴト / 糸野旬

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