2025年に「裏鬼門」で大地震が起こる? 「怪談説法」の三木大雲住職が、お経に記された未来予言を解説【書評】

生き方

PR 公開日:2025/1/30

お経から読み解く未来予言 仏教コード三木大雲/Gakken

 2019年から誰も予測できなかった混沌とした時代が続いている。そして、先行きは決して明るくない。人は、混迷した時代に、どのように向き合っていけば良いのだろうか。

「お経には、未来予言が記されている」

 こう説くのは『お経から読み解く未来予言 仏教コード』(三木大雲/Gakken)だ。本書によれば、お経には、宇宙のスタートから終焉に至るまでのすべてが書かれている。にわかには信じがたい内容だが、ページをめくっていくと、興味深い考察に引き込まれる。

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 本書によると、お経『長阿含経(じょうあごんきょう)』などの中には「四劫(しこう)」という言葉が記されている。「劫」とは時間を表す単位であり、「一劫」は人間の世界では約四十三億二千万年に相当するという。宇宙は、この「劫」に基づき4つの段階を繰り返すとされる。

 最初の「成劫(じょうごう)」は、宇宙や星々が生まれる成立期である。次の「住劫(じゅうこう)」は、衆生(人類を含む生命体)が安定的に存続する時期。「壊劫(えこう)」は、宇宙が破滅に向かう時期。そして最後の「空劫(くうごう)」は、すべてが破滅し、何も存在しない時期を指す。このサイクルはやがて、再び「成劫」へと戻る。

 本書は、私たち衆生が生きる「住劫」の時期について、生命が安定して存続すると同時に、「三災」と呼ばれる災いが起こると説明している。仏教の教義を整理した書物『倶舎論(くしゃろん)』には、「三災」は「大の三災」と「小の三災」に分類されると記されている。「大の三災」は火災、風災、水災の3つであり、「小の三災」は穀貴(こっき:穀物の高騰)、兵革(ひょうかく:戦争)、疫病(伝染病や流行病)を指す。現代は、この「小の三災」が発生する時期であるとされているのだ。

 また、人類の文明や文化が約800年ごとに変化するという「八百年周期説」からも、未来に起こる出来事を予測している。この説によれば、西暦2000年前後が周期の切り替わりの年とされ、変化はこの前後20年ほどの範囲で起こるとされている。

 本書では、2002年に北海道で低緯度オーロラが観測された事例を挙げている。この現象は、お経の『薬師経』『仁王経』に記された鎌倉時代の「赤気」と似ているという。「赤気」は空が赤く光る現象であり、この9年後に大地震が発生したとされている。著者は、現代においては平成23年(2011年)の東日本大震災が対応する現象と考える。

 本書が説明するには、破滅の始まりの合図は「鬼」の襲来であり、鬼が入ってくる方角は鬼門…「北東」である。「鬼門」(東日本大震災が起こった東北)を破られた現代で、鬼が攻め込んでくるとすれば「裏鬼門」になる。つまり、四国と南九州辺りが注意すべき地域であると本書は推測している。また、「八百年周期説」に基づくと、この3年後、現代では令和10年(2028年)に、深刻な食糧難が訪れることとなっているらしい。

 この予測は、あくまで著者の私見であると添えられているが、いずれにしても来るべき大災害に対しての心構えは変わらずしておいて欲しい、とも述べている。

 未来を完全に見通すことは、人間には不可能である。ただし、備えの意識を高める手段として、本書を手に取るのも一つの方法だ。本書には、お経を通じて「人間関係を楽にする考え方や方法」も紹介されている。人との繋がりや関係の強化は、災害時の大きな助けになる。

 本書には、混迷する時代において、道しるべとなる内容が詰まっている。巻末には、手を合わせながら唱えることができる「南無妙法蓮華経」のお題目も収録されている。

文=ルートつつみ

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