話の“さわり”は「最初の部分」ではない? 本来の意味は/毎日雑学
公開日:2025/2/20

「話のさわりだけ聞かせて」の意味は?
「話のさわりだけ聞かせて」と言われると、「話の最初の部分を聞かせてほしい」と捉えてしまう方が多いのではないでしょうか。実はこれは間違いなのです。「さわり(触り)」は本来、浄瑠璃用語で「曲の聞かせどころ」「話の中心となる部分」という意味なのです。文化庁の国語に関する世論調査でも55%の人が「さわり」は「最初の部分」という意味で使っているとのこと。
誤用の原因は、「さわる」という言葉の響きが、物事の表面に軽く触れるといったイメージがあり、「話の最初の部分」につながったのでは、といわれています。
では、実際の会話を考えてみましょう。たとえば映画の話をしているとき、さらっと聞きたいのであれば、「話の最初の部分だけ聞かせて」「話の流れだけ聞かせて」「かいつまんで説明してくれる?」と言えばいいでしょう。
しかし、相手から「さわりだけ聞かせて」と言われたらどちらなのか迷いますね。もしかして本来の意味ではなく間違えて捉えているかもしれません。その場合は、「ポイントだけでいいの?」「始めの部分?」などと質問し、相手の様子をうかがってみてはいかがでしょうか。大切なことは相手のプライドを傷つけないということです。
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
※提供している情報には諸説ある場合があります。ご了承ください。
<第245回に続く>