「こちらが会議室になります」は正しい言い回し?/毎日雑学

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公開日:2025/2/27

“なります”の使い方


「こちらが会議室になります」など聞いたことはありませんか? これはよく聞く間違いで「なります言葉」といわれています。正しくは「こちらが会議室です」、少し丁寧に「こちらが会議室でございます」とします。

「なる」の意味を考えると「物事の実現・成就」「変化や移行」「ある時分、時期などに至る」などがあります。たとえば、「やっと社会人になりました(就職成就)」「会議室が変更になります(変化・移行)」「明日で創立15周年になります(成就、時期に至る)」のように変化が伴う場合に使います。

誤用の原因としては、「先生がお帰りになります」などの尊敬語(ナル敬語)や、「お世話になります」という挨拶言葉など、「ナル」を耳にする機会が多くあること。そして、「会議室です」では少しカジュアルだけど「会議室でございます」は言い慣れない。そんなときに使いやすさから「会議室になります」としたことがきっかけのようです。近年「いただく」や「でしょうか」の多用も問題視されていますが、これも言葉を長くするとなんとなく丁寧に聞こえる、という理由からです。

敬語は複雑な部分もありますが、正しい敬語を知り、「スマート&シンプル」な言葉遣いを目指したいものです。

文=尾形圭子

尾形圭子

株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。

※提供している情報には諸説ある場合があります。ご了承ください。

<第249回に続く>

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