「煮詰まる」=「議論が行き詰まる」ではない! 本来の意味は?/毎日雑学
公開日:2025/3/27

「プランが煮詰まったので気分転換しよう」
このように言われた場合、違和感はありませんか? 「煮詰まる」とは「結論が出せない状態」か「結論が出る状態」か、どちらをイメージするでしょうか。正解はなんと「結論が出る状態」なのです。由来は「煮詰まって煮汁が少なくなる状態」が転じて「結論を出す段階」になったとのこと。気分転換をしたい状況であれば「プランが行き詰まったので気分転換しよう」が正しい表現となります。
ただし、近年、「煮詰まる」の捉え方に世代間の大きな差があることがわかりました。文化庁「国語に関する世論調査」によると、60代では本来の使い方である「結論の出る状態」と答えたのが70%、一方の「結論が出せない状態」が23.6%です。ところが、10代では「結論の出る状態」が28%、「結論が出せない状態」が57.3%と、60代とは逆転しています。時代の流れとともに、本来の意味と違う使い方が慣例化されている例は多く、敬語でもよくみられます。
以上のことを考えると、幅広い年齢層が集まる場面では使い方を考えないと、勘違いをされることもありそうです。言い換えとしては以下がありますので参考にしてください。
結論が出ない状態:「行き詰まる」「足踏み状態」「停滞」
結論が出る状態:「まとまる」「合意にいたる」「最終段階」
正しく伝えることが目的です。柔軟に対応しましょう。
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
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