いつも吠えてくる近所の犬と仲良くなるため、人間を捨てた。クセ強キャラたちが大暴走! なギャグ漫画【書評】
公開日:2025/2/28
ギャグ漫画の魅力といえば、なんと言っても個性豊かな主人公の唯一無二のキャラクター性だ。彼らが織りなすユーモラスな世界観、そしてその予測不可能な言動が読者を圧倒し、笑いを誘う。
本稿では、クセ強な主人公が魅力のギャグ漫画5選を、世界観の魅力や見どころポイントとあわせてご紹介。どの作品も、予想を遥かに超えるトンデモ展開に思わず笑いが止まらなくなること間違いなし。クセ強キャラたちが作り出す爆笑の世界を、ぜひ体験してみてほしい。
カッラフルなエッッブリデイ

『へたくそなのに泣くほど笑える! カッラフルなエッッブリデイ』は、著者であるむめい氏の小学生時代を中心にしたコミックエッセイ。2021年からX(旧Twitter)に投稿を始めたエッセイ漫画をまとめた単行本は、2023年6月に第2巻が発売されている。さらに2023年12月にはアニメ化も果たした人気作だ。
作中で取り上げられるのは、初めてのワキ毛を見つけた話や学校の先生をママと呼んでしまった話、近所の怖い犬と仲良くなるために犬になりきった話など、日々の何気ないできごとばかり。奇行が目立つ“むめいちゃん”が次々と繰り出す爆笑必至のエピソードの数々に、思わずお腹を抱えて笑ってしまう。
大人になった私たちは皆、知らず知らずのうちに、幼い頃に経験した素朴な出来事の大切さを忘れてしまう。どこまでも無邪気で純粋だったあの頃の自分は、いったいどんなことを考えながら毎日を過ごしていたのだったか――。ふり返ると、懐かしさとともにほっこりとした温かい気持ちが湧き上がる。
さらに、子どもらしい遊び心を感じさせる奇抜な配色や、まるで小学生の落書きのようにも見える唯一無二のタッチも本作の魅力のひとつだ。
見るからに怪しい二人

『見るからに怪しい二人』はタイトル通り、見るからに危険な外見をしたふたりの男性が織りなす物語。ふたりのうち、ひとりは全身黒ずくめのうえ、腕にはタトゥー、耳にも口にも無数にピアスが見える。もうひとりは、同じく多数のピアスを身につけ、ジャケットやチョーカーには高確率でトゲが生えている。
しかし、いかにも恐ろしげなのは見た目だけ。なんと彼らは博愛と慈愛の精神にみちあふれた、人畜無害な人間なのである。ふたりして公園で白い粉と注射器をいじっている姿は何とも危なげだが、実際のところは水と粉をまぜあわせて、ねればねるほど色が変わる駄菓子に夢中になっていただけ。その見た目からは想像もつかないほど、ふたりの言動はどこまでも優しくて可愛らしい。
彼らの意外な一面が明らかになるたびに、驚きとともに心からの笑いや感動を覚えること間違いなし。外見からは想像もつかないほどの優しさや、不器用ながらも誰かを思いやる姿勢、時にはコミカルで抜けた行動に、読み終えた頃はすっかり愉快なふたり組の虜になっていることだろう。彼らの本性を知った周囲の人たちとの関係性の変化にも、ぜひ注目して読んでみてほしい。
ギャル医者あやっぺ

1990年代後半から2000年代にかけて、街を彩った黒ギャルたち。派手なヘアスタイルやネイル、個性的なファッションに身を包んだ彼女たちの存在感は絶大で、当時の若者文化を象徴するアイコン的存在だった。『ギャル医者あやっぺ』は、医師になったギャルが活躍する異色の医療漫画。
本作の主人公・あやっぺは、外見も内面もギャル感満載の医師。彼女が仕切る現場では、「血圧アゲアゲになってんじゃん!」「マジおめでたじゃね!」といった、まさにギャル全盛期を思わせる言葉たちが日常的に飛び交う。その明るくテンション高めの言葉選びが、物語の空気を一気に盛り上げている。
あやっぺだけでなく、院長や看護師といった周囲の登場人物たちもノリが良くキャラクターが濃いのが、本作の魅力のひとつ。あやっぺと彼らの軽妙なやり取り、そしてリアルとコメディがバランスよく織り交ぜられた絶妙なストーリー展開が、全体の雰囲気をさらに楽しいものにしている。
当時は、個性を全力で表現し、独自の美学を貫く黒ギャルたちに憧れを持つ若者も多かった。「あの頃のギャル文化はすごかった」「当時、真似をして黒ギャルを目指していた」という人はぜひ本作を手に取り、なつかしい記憶に浸ってみてはいかがだろうか。
ゴリラ女子高生

「女子高生」と「ゴリラ」。一見まったく異なる二者だが、どちらも強さを象徴する存在として知られる。青春を全力で駆け抜ける女子高生の若さとエネルギー、そしてゴリラの持つ圧倒的なパワーと頼もしさ。この2つが融合したキャラクターを想像してみると、なんともユニークで魅力的な存在が浮かび上がる。
『ゴリラ女子高生』は、まさにそんな妄想を具現化した、「女子高生」で「ゴリラ」の主人公がおくるハイテンション・ゴリラ・(ラブ)コメディだ。設定の奇抜さと絵面のシュールさが高く評価され、「ジャンプ+」連載争奪ランキングでは見事1位を飾り、SNSでも大反響を呼んだ。
主人公は高校1年生の五里うらら(ごりうらら)。がっちりした筋肉質な体格と、500キロの握力を持つゴリラの体に、大きなリボンのついた制服とキャメル色のベストをまとっている。見た目のインパクトもさながら、その日常生活からも目が離せない。
カメラを向けられると、どうしても小顔に見せたくて友人より一歩、いや二歩後ろに下がる。そんな女子高生らしい行動を取るうらら。だが、それは友人たちも同じだ。写真の中で少しでも細く見えるためのポジション争いが激化し、ついには窓を突き破るという驚きの展開に。単なる小顔争いが建物の耐久力すら超越してしまうあたり、もはや常識の枠を飛び越えている。
どんなに強靭な力を持っていても、「少しでも可愛く見られたい」という気持ちがあるのがうららの魅力だ。読み終わる頃には“ゴリラの強さ”と“女子高生の可愛らしさ”を併せ持つ彼女の魅力にすっかり虜になっていること間違いなし。普通の人間のコメディでは満足できなくなってしまった人にはぜひおすすめしたい作品だ。
剛力さん家はシュラバラバンババン

『剛力さん家はシュラバラバンババン』は、0歳8カ月の赤ちゃん目線で送る新感覚のファミリーコメディ。早くも物心がついてしまった天才赤ちゃん・剛力愛一郎(ごうりきあいいちろう)の視点を通して剛力家の日常が描かれるが、これがただの「日常」とは一線を画している。
愛一郎の母・巴萌(ともえ)と父・義仲(よしなか)は、筋肉ムキムキのパワー夫婦。パワフルすぎるふたりの織りなす筋肉パワー全開の日常は、予測不能な展開を見せ、読者を笑いと驚きで包み込んでいく。
家庭内でとんでもない修羅場(シュラバラバンバ)に発展しそうなギスギスした雰囲気が漂う瞬間が多々あるものの、必ずポジティブな結末が待っているのが本作の魅力のひとつ。どんなにイラッとした場面でも、筋肉ムキムキの夫婦・義仲と巴萌は、お互いに支え合い、解決策を見つけることができるのだ。彼らの織りなすドタバタとした日常は、時に荒っぽく、時にユーモア満点で、読み進めるごとに爽快感が残る。
いっぷう変わった両親に振り回される愛一郎の視点は、ユーモアと愛情に満ちている。そんな日々の騒々しさの中でも、家族としての絆や思いやりが垣間見えるのが、剛力家ならではの魅力だ。
読み終わる頃には、風変わりな一家の日常から多くの笑いと癒しを得られること間違いなし。「筋肉」と「ルビ芸」により最高速度で展開されるスタイリッシュ生活に、ぜひ一度どっぷり浸かってみては?
クセ強めの主人公が活躍する至極のギャグ漫画作品の数々、読めばきっと元気をもらえるだろう。