「小学生のメイク」は必要? 肌トラブルは? メイクアップアーティスト・イガリシノブが「メイクは子どものコミュニケーション力アップになる」と断言する理由《インタビュー》
公開日:2025/2/9
メイクは子どものコミュニケーションのチャンスを広げるツール
――お子さんにメイクの楽しさを伝えることが、どんな将来や未来につながってほしいですか?
イガリ 私たちが子どもたちに「楽しい」を受け渡すから、君たちも未来に「楽しい」を受け渡してねって思います。SNSでこうやって世界とつながれて、こんなにいろんなコスメが流行ってる時代が来るなんて、20年前は想像できなかったし、今はいいって言われているものが、そうではなくなる可能性もあると思うんですよ。でも、今いいものと、その楽しさを次の世代に受け渡していくことが、今を生きる人の宿命だと思うので。今の子どもたちが大人になった時に楽しく生きていて、その子たちもまた楽しいを受け渡していく、そういう世界になってほしいですね。
それに子どもたちには、メイクを通じてコミュニケーション力を身につけて、社会に負けないようになってほしいです。今、日本って、家族やコミュニティが小さい単位になってしまっているから、子どもたちには、もっと幅広いコミュニケーションを通じていろいろなものを吸収してほしい。メイクをすれば、友達と美容院や買い物に行って、あの子に会う時はこういうメイクしようとか、そういう楽しさが生まれるので。メイクって気軽にできるコミュニケーションのツールだから、メイクでコミュニケーションが増えることで、元気な社会になるといいなと思います。
――社会に負けないようにというのは、生き抜く力を身につけるということですか?
イガリ メイクをしてマインドが上がることで、外に出られる子もいると思うんです。メイクで自分に自信がついて、自己肯定感がちょっとだけ上がれば一歩を踏み出せるし、それが他者肯定にもつながる。メイクを通じて、そういういい形ができてくるんじゃないかと思いますね。私自身はメイクなしで出かけることに抵抗はないんですけど、メイクしないで出かけて「あ、失敗したな」って思うこともあるので(笑)。ちょっとだけメイクをすると、街に馴染んで安心することって大人もありますよね。メイクをすれば、新しいことができるようになると思いますね。
コギャル文化の再来を大人も一緒に楽しんでほしい

――お子さんの肌が心配な親御さんも多いと思うんですけど、そういう方は、子どもの肌トラブルが出たらすぐにケアをするという前提を持っておけば良いでしょうか?
イガリ 私はヘアメイクが専門で、肌に関しては言えない部分があるので、この本では、皮膚アレルギーの専門家の大塚篤司先生に肌のご説明をしていただきました。子どもは避けたほうがいいメイクや、肌荒れ対策について解説していただいています。ただやっぱり肌トラブルが出たら、家庭で対処するのではなくすぐにクリニックにかかっていただきたいですね。
私も、子どもの肌にファンデーションを塗ることは推奨していません。眉毛も手を入れる必要はないと思っているので、そのページはありません。眉毛は子どもの魅力的な額縁のひとつで、切る必要もメイクする必要もないと思っています。子どもに必要のないことはしないというのは、ヘアメイクの視点からも、肌を大切にしてほしいという視点からも伝えています。
――最後に、この本を手に取る大人世代にメッセージをお願いします。
イガリ 私がこの本で一番読んでほしいのは、最初の「メイクをするといいこといっぱい!」っていうページなんです。メイクの方法についてはいろいろなことを試してほしいですけど、まずは楽しむというマインドを持っていただきたいですね。それに今回、小学生向けのメイク本を作るのに、今、一番元気なコギャルたちのエネルギーを借りたくて、モデルのりゅあちゃんに出ていただきました。大人たちも、この本のりゅあちゃんのメイクやファッションを通じて、今、ブームが再来しているコギャルの世界観を楽しんでほしい。身近な大人がまず楽しむことで、子どもも一緒にメイクを楽しめると思いますね。
取材・文=川辺美希