「ご冥福をお祈りいたします」は仏教式? “お悔み”はどういう言葉が適切?/毎日雑学

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公開日:2025/4/7

●お悔みはどういう言葉が適切?


 死は誰にでも必ず訪れる現実です。これをどう捉え、対処するかは民族の風土や生活様式、宗教などによって様々です。

 日本の土着信仰である神道と、後に伝来した仏教が結びつき、死んだ人の魂(霊)は供養されることによって神様・仏様となって、身近なところで子孫を守り助けてくれると考えられていました。

 神道は、死を“穢れ”と捉えていて、そのため日本の葬儀の9割近くが仏式で行われています。また仏式でも宗派や地域によって、そのしきたりは様々です。さらにコロナ以降、知人友人などにも参列してもらう「一般葬」は少なくなり、親族を中心にした「家族葬」が増えました。このように、生活スタイルや時代と共に葬儀の形式も変わっていくものです。仏式の場合、一般的には「通夜」の翌日に「葬儀・告別式」が営まれますが、これも最近では一日で行うこともあります。

 葬儀に参列した場合によく聞く「ご冥福をお祈りいたします」は、「冥福」が仏教用語なので、その他の宗教の場合は「お悔み申し上げます」「ご愁傷様です」が適切でしょう。しかし、いくら言葉を掛けても遺族の悲しみが癒えるわけではありません。したがって葬儀の時には言葉以上に、心から哀悼の意を示す“態度”こそが大切であるように思います。

文=明石伸子

明石伸子(あかしのぶこ)
NPO法人日本マナー・プロトコール協会 理事長

青山学院大学卒業後、日本航空室乗務員、会社役員秘書などを経て独立。2003年NPO法人日本マナー・プロトコール協会を設立し、文部科学省後援「マナー・プロトコール検定」や「コミュニケーションマナー検定」の開発、運営を実施。講演や研修などを通じて、それらの啓発・普及に力を注いでいる。
その他の役職:NHK経営委員、一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会理事。学習院女子大学非常勤講師など(2025年1月現在)。
主な著書、監修:「間違いやすい順 社会人のマナー大全」(宝島社)、「この1冊でOK!一生使えるマナーと作法」(ナツメ社)、その他、連載多数。

■日本マナー・プロトコール協会
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■コミュニケーションマナー検定
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■マナー・プロトコール検定
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<第270回に続く>

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