和田アキ子との初仕事に寝坊で遅刻、安室奈美恵のインタビューをすっぽかし…フリーアナウンサー・垣花正の、失敗をチャンスに変える「ポジティブ思考」《インタビュー》
公開日:2025/2/15
「ラッキーカウントメーターっていうのは、簡単に言うと、失敗したことは全部ネタにするから、失敗した時に凹むなよという自分に対する励ましでもあるんです。もちろん、失敗した時はそうは思えないですよ! 明日謝りに行く時どうなるんだろうとか、部長がカンカンで『辞めろ』と言ってるけどどうしよう……とか、いろいろ思っています。でも時間が経って、少しずつ『あれ? これ、もしかして美味しいんじゃない?』となんでも“ラッキー”と捉え始めると、大抵のことは美味しく感じ始めるっていう(笑)。ある意味ちょっとずるい考え方、魔法の発想の転換ですね」
そうした考えに至ったのは、学生時代に所属した欽ちゃん劇団で萩本欽一から教わったことと、文芸評論家の福田和也から勧められた、作家・色川武大の著書『うらおもて人生録』からの影響だと本書に記されている。20代後半で失敗について前向きに考えられるようになったという垣花アナだが、「それでもなお失敗は続くんですけどね」と笑う。近年は失敗すると叩かれる、だから失敗しないよう慎重に……という風潮だが、垣花アナは「もうちょっと失敗してもいいよ、と言ってあげたい」と語る。
「今って失敗した人を突き落としたり、引き摺り下ろすところまでやって、面白がってるじゃないですか。でも失敗談をカラッと笑ってね、もう一回リセットできる、敗者復活戦がいっぱいある世の中の方がいいなと思います」
常に上機嫌でいる
2024年12月に放送されたラジオ番組『中森明菜のオールタイムリクエスト』に歌手の中森明菜を迎え、ミッツ・マングローブとともに出演した垣花アナ。このときは事前準備を一切せず収録に臨んだという。
「ミッツさんという明菜さんにすごく思い入れのある人がいるので、僕は“無”(む)の方がいいんですよ。ポイントでミッツさんが質問してくれるから、僕は全く気をつかってない無の状態でいて、話にゲラゲラ笑ったり、ちょっと間が空いたら失礼を承知で何か言ったりする。それはミッツさんと明菜さんが楽なように、という考えからなんです。こっちが必要以上に立てたり、様子をうかがったり、恐る恐る接したりしていると、相手が損しちゃうんですよね。そんな扱いをされたら素が出せないし、嬉しくないだろうし。だから明菜さんとミッツさんが得するようにということを考えると、自然に距離が詰まるんです。そこに自分がどう見えるかっていう考えはほとんどなくて、相手が喋りやすいトスを投げるだけなんですよ。ミッツさんは『明菜さんの前で私があんなに緊張してるのに、横に全くなんにも考えてないアンタがいたからすごい助かった』と言ってくれました」
距離は自分のために詰めるのではなく、相手の立場になって考え、「こっちが気をつかっていると相手が損をする」と考える垣花アナが心がけているのは、常に上機嫌でいることだという。

「自分の周りを見渡すとすごい才能の持ち主ばっかりで、僕はその才能にあやかっちゃってるわけですよ。それこそ番組名と同じ『あなたとハッピー!』と言えば聞こえがいいけど、“あなた”の才能を引き出す形で僕が存在させてもらってるっていう番組が多いんです。アッコさん、マツコさん、ミッツさん、ゆず、そして先日亡くなったモリタクさん、みんなすごい才能の持ち主で、そういう意味ではもう感謝しかないんですよ、本当に。だからいつも自分が上機嫌でいるのは最低限のルール。相手の才能にあやかってる僕が、何かしら自分の機嫌や都合で足を引っ張るようなことがあってはいけないというのは大前提だし、僕には『自分が自分が』という要素が本当にないんです。そういう考え方は、ビジネスパーソンにも参考になるんじゃないかなと思います」
本書を読んだ方たちから寄せられる感想は千差万別で、「読む人によって刺さる箇所が違うのがこの本のちょっと面白いところ」という垣花アナ。
「失敗談を面白がって読んでもらって、少しでも役に立てればという思いを込めたつもりなので、そこを感じ取ってもらったらめちゃくちゃ嬉しいですね。才能がある人ほど傷つきやすかったりするし、自分に自信がない人には心の隙間があって、埋められないギャップがある。そういったところに少しだけ癒しというかね、こういう考え方でいいんだと楽になってもらえたら、目的は達したかなって思います。え、第2弾ですか? 失敗談だけのエピソードでいいなら、それはもう山ほどありますよ! ひどすぎて書けないかもしれないですけど(笑)」
取材・文=成田全(ナリタタモツ) 撮影=川口宗道