美少女ダークエルフの姿で心はおじさん。ギャップ主人公は異世界で成長できるのか!?【書評】
公開日:2025/3/4

『私の心はおじさんである』(嶋野夕陽:原作、うつぎ:漫画、NAJI柳田:キャラクター原案/主婦と生活社)は、「私はおじさんである」という強烈な一文から幕を開ける、王道とは一線を画す異世界成長譚だ。
主人公は、最強の肉体と美貌を持つダークエルフの美少女。強力な魔法を操るチート能力も持っている。しかし、そんな恵まれた力を持ちながらも、彼女はどこか自信がなく、控えめな性格。そう、中身がおじさんなのだ。
一般的な異世界転生ものの主人公は、自信満々に力を振るうケースが多い。しかし、本作の主人公は、「最強」なのに「謙虚」かつ「臆病」という珍しいタイプ。そのため、異世界の常識に戸惑ったり、人間関係に悩んだりする場面が多く、読者としては自然と彼の成長を応援したくなる。
また、主人公を支える年下の冒険者仲間たちも物語に欠かせない存在だ。彼らとの出会いや交流を通じて、主人公は異世界の文化を学び、徐々に自分の居場所を見つけていく。
本作のもう一つの魅力は、緻密に作り込まれたファンタジーの世界観と迫力ある戦闘シーンだ。魔法を駆使したバトルは躍動感があり、読者を引き込む。特に、ダークエルフの美少女という外見と、おじさんらしい思考のギャップが、シリアスな場面にもユーモアを織り交ぜ、物語に絶妙なバランスを生み出している。
この「見た目は美少女、中身はおじさん」という設定が、本作では単なるギャグではなく、物語の軸としてしっかり機能している。主人公はギャップに戸惑いつつも、異世界で生き抜く術を学び、仲間とともに未来を切り開いていく。その過程がしっかり描かれているため、ただのコメディではなく異世界成長譚としての深みを持っているのが特徴だ。
『私の心はおじさんである』は、異世界チートものの要素のなかに主人公の成長や仲間との絆を丁寧に描いた作品だ。等身大の悩みを抱えた主人公が前に進んでいく姿に、読者も共感し、心温まることだろう。ぜひ手に取って、主人公の異世界での成長を見届けてほしい。
文=ネゴト / すずかん