発売後、即重版! 猥談をしたいゲイ男子&聞きたい腐女子OLが同居する、エロと笑いと友情が詰まった『アオイ君の猥談がたまらない!!』【書評】
公開日:2025/2/22

みなさん、猥談はお好きですか?(唐突な呼びかけ)
私は大好きです(きっぱり)。ただし、猥談ならなんでもOKというわけではありません。猥談にはセンスとリズムと塩梅が必要です。内容があまりにどぎつくなりすぎると、聞いている人が引くかもしれません。かといって、語り手が照れてもじもじするのもNG。聞き手の反応を確かめながらエロの度合いを調整し、最高にムラムラするアトモスフィアを生みだす――それが優れた猥談であります。
その意味では、本作『アオイ君の猥談がたまらない!!』(mmk/KADOKAWA)のアオイ君は猥談の達人といえましょう。彼は、自分のエロい体験談を人に話すことで興奮するという、厄介な性癖の持ち主。そんなアオイ君にロックオンされるのが、BLをこよなく愛する腐女子OLの芽吹。


ひょんなことから出会った2人は、ある契約を結びます。アオイ君は芽吹に猥談を提供し、その代わり芽吹は宿なしの彼を家に住まわせるというもの。
猥談を誰かに聞いてもらいたいアオイ君と、猥談を摂取したい芽吹。どちらにとってもWin-Winです。加えてアオイ君は同性愛者なので、男女の同居とはいえ、恋愛的なややこしさが生じるおそれもありません。


『作りたい女と食べたい女』ならぬ「(猥談を)話したい男と聞きたい女」のお話である本作品。肝はもちろん猥談部分なのですが、これがもう……アオイ君の存在自体が芽吹の表現を借りるなら「エッッッッロ」。切れ長の目に黒髪、腰から尻にかけてのライン。加えて、普通にしていてもどこか笑っているかのような表情が、なんともなまめかしいのです。
こんなアオイ君が、創作や他人の話ではなく自らの性遍歴を語るわけなので、芽吹ならずとも、こうなってしまいますよね↓。

アオイ君のめくるめく猥談は、実に多種多様。中学時代の同級生とのトイレでの初体験を皮切りに、グッズを使った寸止めプレイ、バーで誘われた相手とのゲーム、さらにはSMに3Pまでも。臨場感ある語り口と回想シーンのコンボで繰りだす猥談が、とにもかくにもエロい。かつ、ちゃんとオチがついているあたりに猥談師としての美学すら漂わせます。

ビッチ極まりないアオイ君ですが、本当に好きな相手である後輩の塩見君にだけは、目も合わせられません。そこがまた芽吹を悶絶させます。セックスには奔放だけど、恋には臆病なアオイ君。彼の心のねじれに芽吹は気づき、ちょっぴり厳しい言葉をかけもします。一方で芽吹も、事なかれ主義なためにずっと割を食ってきたその性格を、アオイ君に指摘されます。ここまでくると2人はもはや友人同士。猥談を介して、いつの間にやら互いの欠点も長所も(もちろん性癖も!)分かりあう仲になっていたのです。
アオイ君は芽吹に背中を押され、塩見君に一歩近づく勇気を振り絞ります。芽吹もまた、彼の猥談を思いっきり聞きたい気持ちを原動力に、理不尽な残業を押しつけてくる同僚にNOと言えるようになっていきます。
エロと笑いと友情と成長が、ぎゅぎゅっと詰まった快作。アオイ君の猥談にあなたもぜひ病みつきになってください!!
文=皆川ちか
