常連客の夫と不倫関係に。やがて妻の妊娠が発覚し、襲いかかる「不倫の代償」【書評】
公開日:2025/3/9

危険な恋ほど甘美で、そして残酷 。そんな「やめられない恋」のリアルな心情を描いた『甘い沼は地獄の味がする 妻バレでも別れてくれない不倫カレシ』(ミカン:原作、ゆいじ:作画/KADOKAWA)。不倫という禁断の関係に揺れる「シタ側」の心理を、繊細かつ鋭く描いた作品である。
美容師のミカンは、彼氏と別れた寂しさから職場の常連客の夫・タケオと不倫関係に陥る。タケオの「妻とはもう男と女って感じじゃないから」という言葉を信じ、心の隙間を埋めるように彼との関係に溺れていた。しかし、彼の妻・マミの妊娠が明らかになり、タケオの言葉が嘘だったことを知る。
罪悪感と裏切られた気持ちから別れを決意するミカンだが、タケオは「別れない」と引き留め、彼女の心は再び甘い沼へと引きずり込まれていく。
本作の最大の魅力は、不倫という危うい恋に溺れる主人公・ミカンの心理描写が非常にリアルである点だ。妻へ対するタケオの冷めた態度から、ミカンは「私だけが愛されている」と優越感に浸る。しかし、ふとした瞬間に「所詮、他人のものだ」と痛感し、絶望に突き落とされる。この心の揺れが繊細に描かれており、読者は禁断の恋が持つ甘さと苦しさを疑似体験することになる。
タケオの甘い言葉と、妻・マミの妊娠という現実がぶつかる場面は衝撃的。「今度こそ終わりにしよう」と決意しても、タケオの存在に縋ってしまう彼女の弱さが痛々しい。
ついに不倫が妻にバレてしまったミカン。彼女を待っていたのはいばらの道だった。
リアルな不倫はごめんだが、危険な恋の甘さと苦しさを疑似体験してみたい。そんな人は、ぜひ本作を手にとってみてほしい。 きっと、恋の甘い沼に引きずり込まれることだろう。
文=ネゴト / すずかん