リノベに消極的な妻。その心の内は? やり手営業ウーマンが立ち向かう、住宅リノベ×人間ドラマ【書評】

マンガ

公開日:2025/3/11

 近年よく目にする「リノベーション」という言葉。住宅の間取りの変更など、リフォームよりもさらに大規模な改築工事のことを意味する。『魔法のリノベ』(星崎真紀/双葉社)は、そんな“リノベ”をテーマに繰り広げられる物語。依頼者や仕事仲間との人間ドラマが描かれ、読むと前向きな気持ちになれる作品だ。

 
 大手リフォーム会社で活躍していた、やり手の営業ウーマン・小梅。人間関係のトラブルをきっかけに、小さな工務店でリノベーションを手がけることに。コンビを組む玄之介とは、時折衝突しながらも協力して営業・提案を繰り返すことで信頼関係を築いていく。古い風習が残る工務店に、小梅は鋭い観察眼と型破りな提案で変化を巻き起こす。

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 本作は2015年からシリーズがスタート。実際のリノベ技術や素材の選び方、さらには間取りも詳細に描かれ、リアルな描写の数々に思わずリノベ欲が掻き立てられる。

 小梅の営業力は、社会人として勉強になることばかりだ。はじめに登場するのは、築42年のマイホームをリノベしたい老夫婦。従来の営業方針では、名刺を夫だけに渡し、キッチンの話は料理をする妻に行う。だが小梅はふたりの様子から、夫が家事を行っていること・妻がキャリアウーマンであることを見抜き、営業スタイルを柔軟に変える。先入観にとらわれず目の前の相手に向き合う姿勢は、誰もが心に刻んでおくべきだろう。

 頑なな態度を取る妻に対し、小梅はその胸の内に隠されたニーズを考え続ける。小梅が準備した依頼者にぴったりの提案とは? ぜひ本編で確かめてみてほしい。

 5巻では女性新入社員・夏目と一緒に営業に励み、6巻では怪我から退院した玄之介とのコンビが復活。まだまだ目の離せない展開が目白押しだ。初期からブレない小梅の姿勢は、読者の人間関係や仕事に気づきを与えてくれる。働くすべての人に読んでほしいお仕事漫画だ。

文=ネゴト / fumi

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