異世界の食材で飯テロ!スローライフ志向の転生勇者の絶品料理が胃袋わしづかみ【書評】
公開日:2025/3/13

『グラン&グルメ 1 ~器用貧乏な転生勇者が始める辺境スローライフ~ 』(えりまし圭多:原作、雛咲葉:作画、榊原瑞紀:キャラクターデザイン/KADOKAWA)は、冒険のワクワク感に加え、グルメ要素もたっぷり堪能できる飯テロ必至の異世界転生ファンタジーだ。
主人公・グランは、前世の記憶を持ったまま「勇者」に転生した青年。幼少期こそ周囲より優れた能力を持っていたが、成長するにつれ、標準よりやや上程度の戦闘能力に落ち着いた。結果、そこそこ戦えて雑用もこなせる“使い勝手の良い”Bランク冒険者という、何とも微妙な立ち位置に。
冒険者としての限界を感じたグランは心機一転。かねてから密かに憧れていた、のんびりスローライフを送るため、王都から離れた田舎へと拠点を移すことに。しかし、彼が作る美味しそうな料理に釣られて、仲間たちが次々と押し寄せてきて――。
本作の見どころは、戦う力を持ちながらも、むやみに剣を振るわず、むしろ静かでゆったりした日々を送ることを望む主人公の究極の安定志向だ。
異世界ものといえば、剣と魔法の戦いや強敵とのバトルといった戦闘要素がつきもの。しかし、探索や採取、料理など幅広いスキルを持つグランは、戦闘力に頼らず、知恵で生きることの大切さをよく知っている。工夫を凝らしながら地道に居場所を築こうとする、その堅実な姿勢には思わず感心させられる。
グランの作る彩り豊かな料理の数々も本作の魅力のひとつ。誰かと食卓を囲む時間は、単に食事をするだけでなく、人と人の心をつなぐ大切なひとときでもある。グランが丹精込めて作る料理が登場するキャラクター同士の絆を深めるシーンは必見だ。
食欲を刺激する香りが直接伝わってくるような調理シーンの詳細な描写は、読者を視覚的にも楽しませてくれる。異世界転生ファンタジー好きはもちろん、グルメ漫画が好きな人にもぜひ読んでほしい一冊だ。