SF小説の金字塔『ソラリス』を完全コミカライズ。漫画家・森泉岳土「原作をちゃんと咀嚼して漫画ができた」。原作翻訳者にもOKをもらったコミカライズのこだわり《インタビュー》
公開日:2025/3/20

SF小説の金字塔『ソラリス』のコミカライズ『ソラリス 上』『ソラリス 下』(早川書房)が2025年1月に発売された。
1961年にポーランドの作家スタニスワフ・レムが発表した本作は、20世紀を代表するSF小説と称され、SFマガジンによる2025オールタイムベストSFの投票では海外長篇部門で堂々の1位の傑作ハードSF小説。
そんな超有名小説のコミカライズを手がけたのは、数々の海外文学を漫画化してきた森泉岳土氏。
早川書房のコミックレーベル「ハヤコミ」で連載を始めたきっかけから本作のコミカライズについてのこだわりなど話を聞いた。
『ソラリス』との出会いとコミカライズのきっかけ
――昨年スタートした早川書房のコミックレーベル「ハヤコミ」の連載『ソラリス』のコミカライズはどのような経緯で始まったのですか?
森泉岳土さん(以下、森泉) ハヤコミが始まる前から、(何らかの作品の)コミカライズのお話をいただいていまして、僕から「『ソラリス』をやりたいです」と言ったのが始まりですね。ただし権利が取れるかわからなかったので、他の作品のコミカライズも頭の中に浮かべていたのですが、編集部から「権利が取れましたのでどうですか? もし森泉さんがダメでしたら他の方にお願いしますが」って言われたので「いやいや待ってください、僕がやります!」ってことで『ソラリス』のコミカライズが始まりました(笑)。
――原作小説『ソラリス』を初めて読まれたときはどのような感想を持ちましたか?
森泉 僕はあまりSFは読んでいなくて、とくにハードSFと言われるようなものは得意じゃないと思っていました。たまたま沼野充義先生(スラヴ文学者、スタニスワフ・レム作品の翻訳を数多く手がける)の新訳(国書刊行会版2004年/ハヤカワ文庫は2015年)が出たときに興味が湧いて読んだら頭を殴られたみたいな衝撃でした。「SFってこんなことができるんだ!」と思いましたね。
僕は一人の作家の一つの作品にあまりにも激しいショックを受けると、その作家の他の作品を読めなくなるんですよ。自分の中で作品を消化できなくて、次(の作品)に行こうって思えなくなるんです。圧倒されて、ずっとその最初の作品について考え続けてしまって。『ソラリス』もスタニスワフ・レムの他の作品が読めずにはや10年、20年…みたいになるくらいの衝撃を受けました。
