「美人局夫婦だ!」被害者のはずの私がなぜ悪者に…? 浮気女からの誹謗中傷に対抗するサレ妻の壮絶な日々【書評】
公開日:2025/4/3

パートナーの裏切りを知ったとき、慰謝料を勝ち取り、失われた尊厳と名誉を取り戻すことに尽力する人は少なくない。しかし、そうすることで本当に心の安寧を取り戻せるのだろうか。法的な勝利は自尊心を回復させる一助にはなるが、それだけで心の傷は完全に癒えはしないだろう。
『【悲報】浮気女に慰謝料請求したら友達まで失いました』(山吹いろ:原作、ともを:漫画/KADOKAWA)は、夫の浮気相手に不貞の代償を求めたことを機に孤立してしまった女性の物語だ。
主人公・亜里沙は、大学時代の憧れの先輩と結婚し、理想的な家庭を築いている主婦。仕事に打ち込む夫と可愛い子どもに囲まれた穏やかな日々は、まさに幸福そのものだ。
しかし、友人の結婚式に夫婦で出席して以降、夫の様子が一変。残業や飲み会が不自然に増え、預金口座には多額の引き落としが。不審に思い、興信所に依頼をした亜里沙が直面したのは、夫が大学時代の後輩と不倫をしているという衝撃の事実だった。
怒りと悲しみに震える亜里沙は、不倫相手の女性に対し慰謝料を請求。すると、逆上した不倫相手はSNSにあらぬ誹謗中傷を投稿した。「私はあの夫婦に騙された。美人局夫婦だ!」。彼女の投稿は見る間に拡散されてしまう。共通の友人たちの間では瞬く間に噂が広まり、亜里沙は非難の的となった。
本作の見どころは、悪者に仕立て上げられ孤立していく主人公の姿を通して、SNS社会や集団心理の恐ろしさがリアルに描かれている点にある。悪意ある一言が拡散され、人々はそれを疑うことなく信じる。声が大きい者の言葉ばかりが力を持つ世界だ。
愛する夫をはじめ、信じていた人々に次々と背を向けられ、孤立無援となった亜里沙。人々の先入観により、彼女の主張は誰にも届かない。それでも、愛する子どものため、そして自分自身を守るため、諦めるわけにはいかないのだ。真実を証明するため、たったひとりで戦い抜く覚悟を固めたサレ妻の壮絶な日々の結末を、どうか見届けてほしい。