天羽希純のエッセイ連載「アイドル界のモンスター」/第4回「おもらしするくらいの人見知り」

小説・エッセイ

公開日:2025/3/26

私は小さい頃からすごく人見知りでした。
ずっと親の後ろにひっついて歩いて挨拶もできないような子でした。

父が見かねて脱人見知り計画として、注文を寿司職人に口頭でするお寿司屋さんにいって家族全員分頼ませるなどやっていたくらいでした。

けれどそれは小学生になっても変わらずで、地味で目立たない人見知りがすごい女の子でした。

小学生2年生の頃授業参観がありました。
私は教室の1番後ろの席でした。

トイレがしたくなりました。

けれど地味で目立たない私が先生にむかって1番後ろの席から「トイレに行きたいです」と言い出せるわけもなく、我慢していました。

早く授業おわれと思うけれど、トイレに行きたいときというのは不思議と時間が経つのがものすごく遅く感じて、我慢するのが辛くて涙が出てきました。

けれどやっぱり「トイレ行きたい」と言い出す勇気も出ず、授業残り10分くらいの時についに漏らしてしまいました。

漏らしたことも言い出せずモジモジ、シクシクしていると隣の席の男の子が勢いよく手を挙げて「せんせーい!きすみちゃんの下に水溜まりがあります!」と言ってくれました。

すごく恥ずかしかったけれど、やっとこの地獄が終わると思ったらその子に感謝している自分がいました。

そこからは恥ずかしさのあまり記憶が曖昧ですが、私の親が一生懸命着替え持ってきてくれたり掃除などしてくれた気がします。

その日からちょっとの間、あだ名が「おしっこちゃん」になりました。

それくらい人見知りな私ですが、ずっと憧れていたアイドルに高校1年生でなります。

アイドルをしているとたくさんの人と話すのもあって、自分がどうしようもない人見知りだというのも忘れかけていました。

そんなある日、撮影会という来てくれたお客さんがカメラマンとなり、アイドルを撮るイベントがありました。

いっぱいポーズを決めてパシャパシャ撮ってもらっている中、トイレがしたくなりました。

その時フラッシュバックしてきたのは先ほど話した小学生の頃の私でした。

もうその時の自分とは違う、ちゃんとトイレに行きたいと言おうと思いました。
けれど何故か体が動かない、言い出せない。

私は地味で目立たない人見知りのままだったのです。

でも小学生で漏らすのと高校生で漏らすのとは訳が違う。絶対に漏らすわけにはいかない。

あの時と違って我慢能力も高くなっているはず、と自分の成長に賭けて我慢し続けました。

けれどその賭けには敗れ、漏らしてしまいました。

その時私は真ん中がへこんでいる形のプラスチックの椅子に座っていたので、必死にお客さんにバレないように隠しました。

そのまま座りで撮影会はおわり、間の時間で着替えたりしましたが、お客さんにバレてたのかどうかは今でも分かりません。

今日はなんでアイドルがこんな話をしたのかというと、このレベルの人見知りで地味な性格でも、夢は追えるよということを強引に言いたかったからです。

今でも教習所(中退)にいけば休み時間誰とも話したくないからずっとトイレに引きこもっているような人見知りですが、少しずつ応援してくれるみんなのおかげで克服できている気がします。

またいつ言い出せず漏らすか分からない私ですが、これからもこの性格と向き合って頑張っていくので応援よろしくお願いします。

<第5回に続く>

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天羽希純(あまうきすみ)
8月12日生まれ。東京都出身。
アイドルグループ #2i2の紫担当。
特技はピアノ、トロンボーン、大きな拍手、くねくねボイス。