満田拓也 『MAJOR』は海堂高校戦を最終回のつもりで描いた。幼稚園編から茂野吾郎プロ復活の可能性まで連載20年を振り返る【『MAJOR 2nd』インタビュー】

マンガ

公開日:2025/4/2

ジャイロボールはリアリティがなくてもいい

ーー高校生編の海堂3軍、夢島編あたりからいよいよ吾郎が剛速球投手として開花したように思います。先ほど『球道くん』のお話もありましたが、高校生時代に163km/hを出した中西球道をモデルにした面もあったのでしょうか?

満田:中西球道に限らず、あだち充先生の作品もそうですし、ほとんどの野球漫画は剛速球投手が主人公でしたから。野球漫画を始めるにあたって、そこからは逃げちゃいけないなと思って自然と直球派になりました。

ーー吾郎の代名詞となったジャイロボールは、作品世界を飛び越えて現実でも広く知られるようになりました。

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満田:そうですね。ジャイロは僕が生み出したわけではなく、スポーツ科学者の手塚一志さんが唱えていた理論を、許可を取って使わせていただいたものです。「ジャイロボール」という言葉の響きが漫画っぽくていいなと思ったんですよね。

ーーボールがドリル回転する、というのも漫画的でかっこいいですよね。

満田:実際は漫画のようなストレートではなく落ちるボールだという話もあるんですが、まあ別にでたらめでもいいんですよ。リアリティがなくても面白い方がいいよな、って最近は思っています。

ーージャイロボールを投げ始めた頃から、投球モーション時、吾郎の周りに風が起こるような描かれ方をしています。球速表示などではなく、ビジュアルでいかにも速いのがわかりますよね。

満田:そういう風に見えたなら嬉しいです。これは誰かの真似をしたわけじゃなく。自分なりに「もっとすごい球に見えるようにするにはどうしよう」と考えた末、竜巻をイメージした大げさな表現方法にしたんです。

海堂高校戦は最終回のつもりで描いた

ーー吾郎のストレートは、絶体絶命のピンチに想いが乗るとより速く凄まじい球になるのが本当にかっこよくて。海堂高校戦はその究極だと思っています。

満田:ありがとうございます。海堂戦の最後は、最終回のつもりで怨念を込めて描きました(笑)。

ーー怨念、というのは?

満田:当時インターネット上で、吾郎が海堂高校を辞めて聖秀高校に行く展開についてめちゃくちゃ叩かれていたんですよ。僕としては、地区予選を描く際に、海堂を超えるライバルを出せないと思ったんです。それで吾郎を転校させました。その設定に正解も不正解もないと思うんですけどね。

 ちょっとショックも受けたんですが、海堂高校戦のラストは、批判に対するアンサーとして「俺はこれが描きたかったんだよ!」と、とにかく頑張って描いた記憶があります。これで面白くなかったらごめんなさいだけど面白かったら許せ、という。

ーー最後は吾郎のボークで負けてしまいますが、その前の眉村に対する投球は誌面からも鬼気迫るものが伝わってきました。

満田:棄権しようというチームメイトに対して、ボロボロの吾郎が「俺が海堂を倒すためにとってきたわがままに対して責任を取ってねえ。」と言うシーンがあるんです。あれは僕の台詞でもあって、自分が描きたいように描いた物語の責任を取らないといけないと。その執念で描き切った気がします。「俺はこれがいいと思って描いてるんだ!読んでみてくれ!」みたいな(笑)。

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