山本美月さんが選んだ1冊は?「全キャラクターを演じ分けて、本気で子どもに読み聞かせをしています」
公開日:2025/4/12
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年5月号からの転載です。

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、山本美月さん。
(取材・文=松井美緒 写真=TOWA)
マンガやアニメを愛してやまない山本さん。一昨年にお子さんを出産して以来、「子どもが夢中になっていると私もハマっちゃって」と言う。その一つが、絵本「パンどろぼう」シリーズだ。お子さんが1歳の頃、第1作『パンどろぼう』を購入した。
「私、全キャラクターを演じ分けて、本気で読み聞かせをするんです。それが日々のルーティーンにもなりつつあります(笑)」
シリーズを次々集め、なかでもお気に入りなのが『おにぎりぼうやのたびだち』だ。
「おにぎりぼうやのお話は、とくにパンどろぼうの人生と大きく関わります。“旅立ち”の先、おにぎりぼうやはどんな道を歩むんだろうと気になって。柴田先生が続きを描いてくださったら嬉しいなと思っています」
「パンどろぼう」のどんな小さなキャラクターにも惹かれる。
「一瞬しか登場しないキャラクターにも人生を感じます。おにぎりぼうやが3羽のカラスに襲われるシーンがあるんですが、このカラスたちにもいろんな背景がありそう。彼らの物語も読んでみたいです。子どものおかげで、私も新しい『好き』と出会えている。もう一度人生を最初から楽しめるようで、子どもに感謝です」
Huluで配信がスタートする主演ドラマ『おとなになっても』も、山本さんの「好き」とつながっている。山本さんが大ファンと言う志村貴子さんの同名コミックスが原作なのだ。
「高校時代からずっと志村先生の作品が大好きだったんです。先生の描く世界に浸るのが本当に心地良くて。だから、今作に出させていただくことには、特別な思いがありました」
山本さんが演じるのは、小学校教師の綾乃。人妻だが、偶然に出会った女性・朱里に一瞬で恋に落ちる。
「女性同士という性別の括りは、あまり重要ではない気がします。一人の人間として朱里も綾乃もすごく魅力的です。その二人が惹かれ合うことで、それぞれ今まで知らなかった自分を見つけたり、世界がちょっと違って見えたり。そうした二人の関係性がとても素敵だなと思います」
本作では、綾乃の仕事や同居することになる夫の実家の事情など、様々な人間模様も掘り下げている。
「どの登場人物も、いいところだけでなく情けなさや弱さなど、色々な面を持っていて、人間味が溢れています。その人たちが、お互いの違いを超えてコミュニケーションを取ろうとする。そんなつながりの大切さが描かれていると思います」
ヘアメイク:北 一騎 スタイリング:黒崎彩(Linx) 衣装協力:トップス4万1800円(ウルー)、ドレス2万9700円(ラベルエチュード)、ピアス6050円(ロニ)、右手リング1万8700円(ソワリー)
やまもと・みづき●1991年、福岡県生まれ。2009年、雑誌『CanCam』の専属モデルとしてデビュー。11年には俳優活動も始め、翌年には『桐島、部活やめるってよ』で映画に初出演。近年の主な出演作は、映画『大きな玉ねぎの下で』『聖☆おにいさん ホーリーメンVS悪魔軍団』『忌怪島/きかいじま』『糸』など。

『パンどろぼう おにぎりぼうやのたびだち』
柴田ケイコ KADOKAWA 1540円(税込)
大人気の絵本「パンどろぼう」シリーズ第4弾。おにぎり屋を営むおにぎり一家の「おにぎりぼうや」。毎日おにぎりばかりの食卓にうんざりして家を飛び出し、その先で旅人のおじさんから見知らぬ食べ物をすすめられる。「う…うまい」。その食べ物とは!? 第4回TSUTAYAえほん大賞で第1位にも輝いた、「パンどろぼう」ファン必読の物語。

Huluオリジナル『おとなになっても』
原作:志村貴⼦『おとなになっても』(講談社『Kiss』) 脚本:灯 敦生ほか 監督: 兼重 淳、定谷美海 出演:⼭本美⽉、濱 正悟、桐⼭ 漣、河北⿇友⼦、⿇⽣祐未、栗山千明ほか 4⽉26日(土)よりHuluにて独占配信 毎週土曜最新話更新
●志村貴子のヒット作を初実写化。⼩学校教諭の綾乃は、⾏きつけのダイニングバーで朱⾥と出会う。二人はすぐに惹かれ合うが、綾乃には夫がいた。大人の女性同士のビターな恋物語。
(c)志村貴⼦/講談社 (c)HJホールディングス