塩野瑛久さんが選んだ1冊は?「何度も心を揺さぶられた僕のバイブル この本との出合いは人生の喜びの一つ」
公開日:2025/4/13
※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2025年5月号からの転載です。

毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、塩野瑛久さん。
(取材・文=倉田モトキ 写真=TOWA)
「僕のバイブルです。こんなにも心を震わせてくれる作品と出合えたことは、僕の人生において最高の幸せだといっても過言ではないです」
ヒーローを目指す緑谷出久少年と、彼のクラスメートたちの成長を描いた『僕のヒーローアカデミア』。
「どのキャラクターも最高なんです。すべてにドラマがあり、それぞれが抱える葛藤を乗り越えていく姿に、どれだけ感情を揺さぶられたことか。僕は途中から登場する通形ミリオというヒーローが大好きで。〈ヒーローがマントを羽織るのは! 痛くて辛くて苦しんでる女の子を包んであげる為だ!〉というセリフには彼の優しさや強さが詰まっていて、何度読んでも号泣しそうになります」
“ヒーロー”とは非常に抽象的で曖昧なものだ。「確かに、正義の定義も人それぞれですよね」と塩野さん。
「何をもってヒーローと呼ぶのか、そこには答えがないと思うんです。だから、それぞれの正義感で行動してしまうと不合理なことが起きてしまう場合もある。それでも、自分の信念を最後まで貫く彼らが本当にかっこよくて。僕も昔、スーパー戦隊を演じせてもらっていたのですごく共感できましたし、“もう一度ヒーローになりたい”と強く思いました」
今春スタートするドラマ『魔物』。この作品で塩野さんはDVや殺人の疑惑をかけられる源凍也を演じる。
「『ヒロアカ』と真逆ですよね(笑)。不倫や暴力など不穏な要素が詰め込まれた物語の中で、共感されにくい役。難しさがあるからこそ、飛び込もうという思いになりました」
「愛とは“所有”」という価値観を持つ凍也は妻を束縛する。それは歪んだ愛情にも見えるが……。
「他人からは凍也の行動が整合性のない、突発的なものに思えるかもしれない。でも、彼の中では筋が通っているんですよね。束縛も、当人同士は赤い糸だと感じているかもしれない。鎖ではなく、絆だと。そうした感情が視聴者にも透けて見えるように表現できたらなと思っています」
主人公・華陣あやめを演じるのは麻生久美子。凍也の弁護人でありながら、二人は禁断の恋に落ちる。
「麻生さんとは初共演です。お互い、『この作品は挑戦だね』と話していたので、それぞれの不安を払拭できるように頑張りたいです。また、ほかの共演者の方々とも本読みのときから意見を出し合い、“これはすごい作品になる”と確信しました。撮影前からこんな気持ちになれたのは初めてなので、僕もすごく楽しみです」
ヘアメイク:時田ユースケ(ECLAT) スタイリング:能城 匠 衣装協力:ジャケット・パンツ(LAD MUSICIAN)
しおの・あきひさ●1995年、東京都生まれ。劇団EXILEメンバー。2013年、『獣電戦隊キョウリュウジャー』で脚光を集める。最近の出演作に、大河ドラマ『光る君へ』、ドラマ『五十嵐夫妻は偽装他人』『無能の鷹』『ゴールデンカムイ-北海道刺青囚人争奪編-』「天狗の台所」シリーズ、映画『八犬伝』など。
『僕のヒーローアカデミア』(全42巻)
堀越耕平 集英社ジャンプC 484〜572円(税込)
人口の約8割が“個性”という超人的な力を持つ時代に、その力を悪用するヴィランを取り締まるヒーローたちがいた。少年の緑谷出久は無個性ゆえにヒーローになる道を諦めかけていたが、“平和の象徴”と謳われるオールマイトが彼を後継者に指名。強い信念を武器に、仲間たちとともに真のヒーローへと成長していく。

金曜ナイトドラマ『魔物』
原案:シン・ウニョン 脚本:関 えり香 監督:チン・ヒョク、瀧 悠輔、二宮 崇 出演:麻生久美子、塩野瑛久、北 香那ほか 4月18日より毎週金曜23:15~テレビ朝日系(※一部地域のぞく)にて放送
●弁護士の華陣あやめは能力の高さと美しさゆえに、誰にも属することなく孤独を抱えて生きていた。そんな彼女の前に源凍也が現れる。妖しく魅惑的な凍也に少しずつ惹かれていくあやめは、殺人犯の疑いをかけられた凍也を、自らの意思で弁護することを決意。しかしそれは、禁断の愛の始まりだった……。