明治の戸籍までたどり分かった祖父の正体。戦災焼失を乗り越え、家のルーツが判明/家系図つくってみませんか?

文芸・カルチャー

公開日:2025/4/23

「大田八十吉」はどうなった?

 こうして、とうとう戸籍の焼失という困難を乗り越えて塚田家のルーツが判明しました。無事に塚田拓郎のルーツが明らかになったのです。

 依頼人の季明さんは、たとえ血がつながっていないとしても拓郎およびその上のご先祖様方は塚田家のご先祖であるという想いが強く、最終的な家系図にも拓郎やその上の代を記載することにしました。

 ところで、依頼人から見た本当の祖父(五郎の本当の父親)と伝わる「大田八十吉」とはいったい誰であろうかという疑問が残っていました。

 大田八十吉とは戸籍上のつながりがないため、戸籍で知ることも叶いません。私なりに色々と調べたのですが、当初はまったくわからずにおりました。

 ところが、ついに大田八十吉についても判明する時が来ました。

 それは、前章でお話しした国会図書館デジタルコレクションのおかげです。

 塚田家の調査も大詰めに来ていた2023年のある日、ふと「そうだ、国会図書館デジタルコレクションで大田八十吉さんについて検索してみよう」と思い立ったのです。ご依頼を受けた2019年時点では、まだデジタルコレクションはそれほど充実はしていませんでしたが、奇しくも塚田家の調査があまりに難航して年数を経過しているうちに大きな進展を見せたのです。

 ここで「大田八十吉」と書いているのは仮名ですが、実名もそれほど多くはない名前ですのでそのまま単純に氏名を打ち込んでみました。

 そうしたところ、昭和初期に刊行されたある文献にヒットしました。本所区・向島区に近い地域の町会議員としてお名前が出てきたのです。議員であると同時に、ある事業を営んでいることもわかりました。

 この人こそが塚田季明さんの実の祖父ということになります。

 私のほうで「大田八十吉」の末裔の方がいらっしゃるのかどうか調べてみましたが、残念ながら不明でした。しかし、当初、解明はほぼ不可能ではないかと思えていた塚田家のルーツや実の祖父・大田八十吉のことまでたどることができました。これは関係された皆様の多大なご協力とテクノロジーの進歩のおかげとしか言いようがない事例でした。

<第6回に続く>

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