初めての女性風俗で出会ったのは、気さくなイケメンセラピスト。興味本位で利用したはずが、完全にハマり抜け出せなくなった【書評】
公開日:2025/4/29

『お金で愛は買えますか? 普通OLが女性風俗に沼って闇堕ちしました』(ベリー:原作、もちふわ:作画/KADOKAWA)は、“普通のOL”が女性風俗にハマり、気づけば抜け出せなくなっていく過程をリアルに描いた作品である。
フルリモート勤務が続き、人肌恋しさを募らせていたベリー。ある日、テレビで知った女性用風俗のデートコースに興味本位で足を踏み入れ、優しく気さくなイケメンセラピストと出会う。次第に彼に惹かれ、会うたびに心を奪われていくベリーは、ついに施術コースにも手を伸ばしてしまう。お金を払わなければ会えない相手に溺れてしまった彼女の行きつく先とは――。
本作の魅力は、主人公・ベリーが決して特別な人物ではなく、誰にでもある寂しさや孤独の隙間から、女性風俗に依存してしまう様子が描かれている点にある。ただの興味本位から始まったはずの関係が、やがてコントロールできない感情へと変わり、次第に生活の一部となっていく。その流れはあまりにも自然で、読者はまるで実際の出来事を覗き見しているかのような錯覚を覚えるだろう。
また、“女性風俗”というテーマを真正面から扱いながら、単なる刺激的な話にとどまらず、依存の心理や感情の揺れ動きを丹念に描いている点も本作の特徴である。セラピストのプロフェッショナルな接客や、女性を扱う術に長けた彼らの存在が、どれほどの影響を与えるのかがリアルに伝わってくる。そのため、決してフィクションの世界の出来事とは思えず、物語が進むにつれ、読者自身もベリーの心情に引き込まれていく。
タイトルが示すように、彼女の未来には明るいものばかりが待っているわけではない。読み進めるうちに、「このまま進んでしまって大丈夫なのか?」と胸が苦しくなるが、ページをめくる手が止まらなくなる。
女性風俗という存在が少しずつ知られるようになってきた今、本作は単なるエンタメにとどまらず、“寂しさ”や“依存”が生まれる背景、そしてその先にあるものについても静かに問いかけてくる物語である。
文=ネゴト /すずかん