「面白くなるのなら、手を加えてもらって構わない」芳根京子主演ドラマ『波うららかに、めおと日和』原作者が語る実写化への想い【原作者・西香はちインタビュー 後編】
公開日:2025/4/25
今がちょうど作品のひとつの区切り
――西香先生自身が印象に残っているエピソードはありますか?
西香:やっぱり今度出る8巻に収録されることになる瀧昌が帰ってくる話かな。なつ美が本音言って、妹のふゆちゃんと泣いて。そして最後に瀧昌が帰ってくる。個人的には結構思い入れがある回ですね。

――連載初期から、なつ美は「軍人さんの妻」を目指して頑張っていて、その姿ももちろん素敵なのですが、こうやって本音を言えるようになったことに胸を打たれました。

西香:ありがとうございます。8巻は、なんだろう……自分の中でもひとつの区切りみたいになっている感じはしますね。
――作中ではだんだんと戦争が近づいてきて、不穏な空気も漂い出しています。区切りとおっしゃるのは、ここから少し作品のテンションなどを変えていく構想があるということでしょうか。
西香:いや、テンションは変えないつもりです。あまり暗くしちゃうと読者を置いていっちゃうんで。ただ、暗くはないんだけれど、だんだんと影が出てくる時代に入ったんだよっていうことをバッと出す巻になっていて、そういう意味では区切りなのかなと思います。
――8巻では瀧昌となつ美の周囲のキャラクターにフォーカスしたエピソードが多かったように思います。先生は、お気に入りのキャラクターはいらっしゃいますか。
西香:瀧昌となつ美以外だと、なつ美の妹のふゆ子ですね。感情が一番動くので、わかりやすい、描きやすいというのもあります。ふゆ子が出てくると、場の空気が結構すぐ変わってくれるので、ワッと賑やかになりますよね。

――先ほど「区切り」とおっしゃっていましたが、ドラマで『波うららかに、めおと日和』を知ったという方が読み始めるには、いいタイミングなのかもしれませんね。
西香:そうですね、ドラマをきっかけに作品に興味を持ってもらえたなら、マンガもぜひ読んでもらいたいですね。
取材・文=籠生堅太(yomina-hare)