親バカ夫婦がマッチョ化する理由は愛息子!可愛いが供給過多と話題の育児コミックエッセイ【書評】

マンガ

公開日:2025/5/27

きょうも息子が尊いッ!』(ジェーコ/主婦と生活社)は、生まれたばかりの息子・なーちゃんの成長を描いた、笑いと癒しに満ちた育児コミックエッセイ。主人公は、なーちゃんの母であるジェーコさん。彼女は息子の可愛さに毎日悶絶し、あまりの尊さに“マッチョ化”してしまうという、突き抜けた親バカぶりを発揮する。一緒に暮らす父・シロダさんも同じく、なーちゃんにメロメロ。日々、「尊いッ!」を連発している夫婦だ。

 作品の魅力は、なんといってもその振り切ったリアクション。初めての笑顔には「感受性が豊かかも」と未来を思い描き、喃語がちょっと変わるだけで「言葉がわかってきたのかも」と感激してしまう。どんなに些細な変化も見逃さず、全力で喜びを爆発させる姿に、思わず笑ってしまう。一方で、子育ての“今しかない瞬間”を大切に見つめるまなざしに心が温まる。

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 シンプルで可愛らしい絵柄ながら、マッチョ化したふたりの迫力ある描写とのギャップも見どころ。表情が一気に豊かになり、画面いっぱいに感情が爆発するその描写は、思わずページをめくる手が止まらないほどのインパクトだ。

 さらに、素直で親思いのなーちゃんの存在にも癒される。布団を敷いてくれるなーちゃんにトキメいてしまう両親。その様子を見れば思わず「この家族、愛おしすぎる……」と感じてしまうだろう。

 エピソードはどれもテンポよく展開し、しっかりとしたオチで締めくくられるため、読みやすさも抜群。ジェーコさんとシロダさんの掛け合いも軽妙で、家族のあたたかさがにじみ出ている。

 子育ての苦労を描いた作品が多い中で、本作は“とにかく可愛い”に全振り。楽しいことばかりではない育児だけれど、この作品を読むことで「やっぱり育児って尊いな」と、初心を思い出す人もいるのではないだろうか。

 何気ない日常の一コマにも全力で喜び、楽しむ。そんなジェーコさんの姿に、共感したり、元気をもらえたりする読者もきっと多いはず。

 笑いながら癒されて、心がぽっとあたたかくなる。『きょうも息子が尊いッ!』は、そんな読後感を味わえる一冊だ。

文=ネゴト / すずかん

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