子ども同士のトラブル、親はどこまで介入すべき? 解決策よりも、まず先に考えるべきこととは?【心理カウンセラー・白目みさえさんインタビュー】

マンガ

公開日:2025/5/16

「解決しようとしない」もひとつの支え

「もうそんな子無視しなさい!」「ママが学校に電話する!」「学校休む?」「こう言ってやりなさい」などなど、“解決”に向けてのアドバイスをしたり、行動を起こしたくなるお気持ちはとてもよくわかります。我が子を一刻も早く不安や恐怖から救ってあげたいですものね。

 ただし、親がすぐに解決策を出してしまうと、子どもは「自分の感じ方は間違っていたのかも」「解決できない自分はダメなのかも」と感じてしまうことがあります。

 大人は知識や経験がある分答えがすぐに出てきてしまいますが、できれば「これまでどんな風にしてきたのか」「どんなことをやってみようと思っているのか」などを聞いてみながら、子どもが自分で「やってみよう」と思える方法に辿り着くまで、寄り添うことが大切です。そのやりとりを経ることで、子ども自身が「この状況にどう向き合うか」を考える力を育てる第一歩にもなります。

advertisement

親が介入する

「子どものけんかに親が口を出すな」と言われることもありますが、見守るばかりでなく、実際に子どもを守るために親が介入した方が良い場合もあります。

・“お互い様”ではなく一方的な攻撃、暴言、暴力などがある場合
・繰り返し似たようなトラブルが起きていて、子どもが疲弊している場合
・子ども自身ではどうしようもなく助けを求めている場合
・子どもが自分自身を責めている様子が見られる場合

 実際の攻撃から子どもを守ることが必要だったり、学校という場所で子どもがまったく安心感を抱くことができなくなっているようなケースでは、親の協力が必要になると思います。「何があっても、自分を守ってくれる大人がいる」という感覚は、自己肯定感や基本的な安心感を育むための、大きな支えとなります。

 ただし、“介入”といっても、先生を通して相手の子と話をしてもらう、あるいは直接相手の親御さんと話をする――そういった“対処的な行動”だけが介入ではありません。

 たとえば、先生がその事実を把握していないようであれば情報を共有したり、子どもに休憩が必要なようであれば思いきって学校を休ませてリフレッシュさせたりすることも大切な「介入」のひとつです。

 さらに、話を聞くだけで終わらず、「これからどうする?」と一緒に具体策を考えていく姿勢も、立派な“保護”であり、子どもにとっての安心材料になります。

 子どもが何かにつまずいたとき、親にできるいちばんのことは、「すぐに立たせたり抱き上げたりすること」ではなく、「安心して痛いと泣ける場を用意すること」かもしれません。子どもが自分のペースで立ち上がり、また歩き出す力を一緒に育てていくために、耳を傾け、理解しようとする親の姿勢が、何よりの支えになるのだと思います。

取材=ダ・ヴィンチWeb編集部

白目みさえ
臨床心理士・公認心理師として精神科に勤務するとしごの母で、生粋のオタク。基本的に白目をむいて育児をしていて、その様子をカルタにしたものを増産している。ライター、イラストレーターとしても活動中。著書は『白目むきながら心理カウンセラーやってます』(竹書房)、『子育てしたら白目になりました』(KADOKAWA)。『放置子の面倒を見るのは誰ですか?』(KADOKAWA)が5/16に発売!

Instagram:@misae_mon
X:@misae_yjm

あわせて読みたい