「偽装が明るみに“なった”」は言い間違い?/毎日雑学

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公開日:2025/7/29

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「偽装が明るみになった」は間違い?

 よく聞く言葉ですが、実は間違った使い方で「偽装が明るみに出た」が正解です。「明るみ」は、「明るい」の基礎となる部分(語幹)に場所を表す接尾語「み」がついた名詞で、「明るいところ」「表立ったところ。公の場」(日本国語大辞典より)という意味です。そのため、隠されていたものが「明るみ」、つまり「明るいところ」に出て明確になる場合は「明るみに出る」が正しい表現です。

 間違いの原因となったのが、同義語で「明らかになる」があります。この言葉と似ているため混交表現(取り違えて誤用)になってしまったと考えられます。

■混交表現の例
 同様に誤用の例として、「目鼻が利く」があります。この言葉も存在しません。「目端が利く」が正しく、その場に応じて機転が利くという意味です。この間違いも混交表現で、「目が利く」「鼻が利く」という言葉があるための誤用と考えられます。

 ただ、「目端が利く」は抜け目がないといったマイナスイメージの意味もありますので「洞察力がある」「機転が利く」などほかの表現のほう印象がよいですね。

 正確に意味を理解していないと誤解をまねくことがあり、人間関係に影響がでることがあります。しっかり確認して使いましょう。

文=尾形圭子

尾形圭子

株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。

※提供している情報には諸説ある場合があります。ご了承ください。

<第291回に続く>

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