「あちらのカウンターで伺ってください」とお客様に言ってはいけない理由/毎日雑学
公開日:2025/7/31

「あちらのカウンターで伺ってください」尊敬語と謙譲語②
尊敬語と謙譲語を間違えて使ってしまう表現は数多く存在します。「伺う」は「聞く」の謙譲語。たとえば、「一点、伺いたいのですが」などと相手に対して自分の動作を謙るための言葉です。ですから相手の動作に対する言葉の「あちらのカウンターで伺ってください」は間違いで「あちらのカウンターでお聞きください」あるいは「問う」という意味を考えると「あちらのカウンターでお尋ねください」が正しい言葉です。
■実際の場面では
さて、少し発展させて、この言葉を使う状況をイメージしてみましょう。一例として、お客様が来店され「〇〇について教えてほしい」と質問された。でも担当は自分ではないので、担当者がいるカウンターをご案内する、といった場面だとしたら「あちらのカウンターでお尋ねください」だけでよいでしょうか。お客様の立場になり、すぐにお答えできない状況と考えると、もう少し丁寧な言い方が必要ですね。
たとえば「恐れ入りますが、あちらのカウンターでお尋ねいただけますでしょうか?」などクッション言葉を入れ、願望の疑問形にすることで「こちらでは受けられなくて申し訳ない」という気持ちが伝わります。もちろん、言葉だけではなく「ご案内いたします」と担当者がいるカウンターまでお連れするのがベストです。
■クッション言葉例
・恐れ入りますが
・申し訳ございませんが
・差し支えなければ
・もしよろしければ
・失礼ですが
・お手数おかけしますが
あとに続く言葉を柔らかい印象する言葉です。状況に応じて使いましょう。
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
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