「気が置けない」は本来「遠慮や気遣いをする必要がない」という意味/毎日雑学
公開日:2025/8/3

「彼はやり手で気が置けないよね」は違和感あり
「気が置けない」は本来「遠慮や気遣いをする必要がない」という意味。「やり手で気が置けない」は「気遣いが必要ない」という意味合いで考えるのは違和感があります。言い換えとしては「彼はやり手で油断できないよね」といった表現になるでしょう。
■誤用の原因
誤用の原因を考えてみると、まず、「気が置けない」の対義語である「気が置ける」という言葉をあまり使わなくなったこと。この「気が置ける」は「気が置けない」を否定しているわけですから「気が許せない」の意味になります。そして、「置けない」を考えると「信頼が置けない」「信用が置けない」と否定形の意味で使われる言葉が多く存在します。そのため、「気が置けない」も否定的な意味で認識する人が多くなったと考えられます。少し混乱してしまいますね。
■言い換え表現
平成24 年度の「国語に関する世論調査では、「相手に気配りや遠慮をしなくてはならないこと」と回答した人が半数近くになっています。そのため、相手に誤解されないよう言い換えをおぼえておきましょう。
・本来の意味の「気が置けない(気遣いをする必要がない)」を言い換えると
気心がしれている/遠慮のない/気が許せる/親しみやすい/打ち解けた
・否定的な意味「気が置ける(気遣いが必要)」は
居心地が悪い/ギャップを感じる/打ち解けられない
文=尾形圭子
尾形圭子
株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。
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