「お読みになられましたか?」は二重敬語! 正しいスッキリ敬語は?/毎日雑学

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公開日:2025/8/4

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「お読みになられましたか?」二重敬語を理解しよう

「お読みになられましたか?」は、「お読みになる」という形の尊敬語に、さらに「れる・られる」の尊敬語をつけた「二重敬語」で間違った敬語化です。「お読みになりましたか?」が正しい形となります。
  

■二重敬語とは

 二重敬語とはなんですか?と質問を受けることが多くありますので、ここで詳しく説明します。

 まず、二重敬語とは、ひとつの語に同種の敬語化を二重に行ったもののことを指します。「読む」以外の例をあげると、「帰る」を「お(ご)~なる」の尊敬語に変化させると「お帰りになる」。さらに「れる・られる」の尊敬語を加えて「お帰りになられる」としてしまうことです。正しくは「お帰りになる(ナル敬語)」あるいは「帰られる(レル敬語)」のどちらかになります。なお、「レル敬語」より「ナル敬語」のほうが丁寧な印象になりますので、相手に合わせて使い分けましょう。(出典:敬語再入門 菊池康人)
  

■練習問題

 ここで問題です。「お読みになっていらっしゃる」は二重敬語でしょうか?

 答えは二重敬語ではありません。「読む」が「お読みになる」、「いる」が「いらっしゃる」になったもので、各語がそれぞれ敬語になり、それをつなげたもののため二重敬語ではないのです。少し過剰敬語のようにも感じますが、大切な目上の方には使いたい表現です。

 二重敬語のような間違いは、少しでも言葉が長い方が丁寧なのではないか、といった勘違いから生まれているようです。スッキリ敬語を心がけたいですね。

文=尾形圭子

尾形圭子

株式会社ヒューマンディスカバリー代表取締役
キャリアカウンセラー/人材育成講師/僧侶
航空会社と企業の人事部門を経て2004年に会社設立。ビジネスマナー、コミュニケーション、クレーム対応などの研修・講演活動を行うほか、福祉事業所や病院でホスピタリティを活かした「寄り添いの接遇」を指導。「言葉に心をのせて」を大切にしている。
著書は「一生使える電話のマナー」(大和出版)「すぐに役立つ大人のマナーブック」(JAグループ出版)など30冊以上。

※提供している情報には諸説ある場合があります。ご了承ください。

<第297回に続く>

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