娘がいじめられている? 驚きの噂を聞き心配になった母親は、公園にいるはずの娘の様子を見に行くが…【漫画家インタビュー】

マンガ

公開日:2025/6/10

 ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。

 息子の何気ない一言をきっかけに、娘のハルコがいじめを受けている可能性を感じるナツミ。心配になり娘が遊びに行った公園に様子を見に行くがハルコの姿は見当たらない。やがて帰宅したハルコは、いつも通りの笑顔でずっと公園で遊んでいたと嘘を言うのだった。

advertisement

――このお話はご友人の実体験がもとになっているそうですが、漫画として描こうと決めたきっかけを教えてください。

「いじめ」をテーマにした作品は、被害の内容や加害者への制裁を描かれることが多いと思うのですが、この体験談は単なる被害者と加害者という位置付けに捉われないもっと広く深い視点で描けるのではないかと感じ、漫画にすることにしました。

――ご友人はすぐに承諾してくださったのでしょうか? それともお考えになられた末、ご了承されたのでしょうか? また、モデルにするうえでどのような配慮をされましたか?

友人はすぐに快諾してくれました。配慮については、どちらか一方に感情移入し過ぎて偏った作品にならないよう、全ての登場人物ひとりひとりを丁寧に描くように心がけました。

――とてもセンシティブな題材であり、執筆にはかなりエネルギーが必要だったかと思います。実話と向き合う「しんどさ」は、執筆当初から完結までどのように変化しましたか?

SNSでの連載としてお話を描いていたので、更新するたびにたくさんのコメントをいただきました。お話の進行内容上、読者の方が当然とも言える誤解を抱いてしまうことが多かったのですが「本当はそうじゃない」と言えないのがもどかしかったです。

お話が進んでいくにつれ誤解が解け、コメントの内容が一変し、描きたかった内容と真相が伝わったと感じとても嬉しく、結末を描く時はとても晴れやかな気持ちでした。

 笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。

あわせて読みたい