どうして娘は嘘をついたのか。いじめを受けているという噂の手がかりを探す母親が、娘の部屋で見つけたもの【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/11

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
娘がいじめられているという噂の手がかりがないかと娘の部屋に入ったナツミは、自然教室の写真を見つける。そこに写っていたのは、ひとりぼっちでどの場面でも笑っていない娘の姿だった。友達と遊んだと楽しそうに語っていたのは全て嘘だった……。
――ナツミは、約4年間娘のいじめに気づくことができませんでした。子どもがつらい状況に4年間も気づけなかったという展開は、程度の差こそあれ多くの家庭で起こりうると感じます。親は子どもにどのように接することが望ましいとお考えですか?
私自身もまだまだ親として未熟なので正解はわかりません。日頃から子どもとたくさん関わり会話をし、いつもと様子が違うことに気づけることが一番好ましいとは思いますが、仲が良いほど隠してしまうこともあるかもしれません。
親自身の失敗談や体験談も惜しみなく話したり、ニュースや子どもたち自身の体験や友達の話などを通じてつらいことがあったら我慢せずに話すこと、頼ること、そのときそのときの解決方法を考えるきっかけを少しずつ伝えて行けたらと思います。
――さやけんさんご自身にも、重ね合わせるようなご経験がありましたか?
はい。あります。作中に描かれているシーンの一部には、私自身が実際に目にしたことがある光景を元に描いている部分もあります。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。