担任の先生に電話をして初めて知った娘とクラスメイトとのトラブル。「よくあること」と担任は言うが…【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/13

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
自然学校の写真や下校の様子に引っかかるものを感じたナツミは学校に連絡を入れる。すると担任の先生は自然学校でトラブルが起きていたことを初めて話す。そして「5年生の女子児童ならこういったことはよくある」と言い、詳細は把握していなかった。
――読者に対して他人事として見えないように、意識された点があれば教えてください。
漫画の中の語り手、主にナツミの視点からは決して見えない学校や子どもたちの間でのみ起こった出来事については、「他人が話してくれる内容のみ」を描くように心がけました。
なかなか真実が見えないもどかしさのなかで、その凄惨さや情景をただただ想像する以外ほかないという状況はナツミも読者も同じ情報量なので、そういった意味でも共感をいただいていたような気がします。
――子ども同士のけんかやトラブルに対して、さやけんさんご自身のご家庭ではどのように対応、介入される方針ですか?
子ども同士の一対一の感情的なトラブルについては、内容にもよりますが「どうしたらいいと思う?」とか「どう感じた?」と質問しながら、本人の力で解決方法を導き出す手伝いをするだけで、基本的に親の立場では介入しないようにはしています。
ただ、逸脱した内容であった場合は、夫とふたりで情報共有し、どうするかを話し合いながら都度対応を決めています。
――担任の先生の初期対応にモヤモヤを感じた読者も多いと思いますが、親としては教師にどのような対応を望みますか?
学校の先生というのはひとつの職業であって、「完璧な人間」というわけでは当然ありませんし、間違ったり対応が足りないこともあると思います。
年齢や性格も様々なので、「先生はこうあるべき」といったことは特に感じたことはありませんし、子ども複数人に対して先生ひとりが全員に対応するのは難しいので、しっかり向き合うのは保護者が主体であるべきだとは思います。
一方で、学校でしかわからない出来事や子どもの様子や変化は都度保護者に情報共有し、成長や教育の手助けをしてもらえたらなと思います。
なので、できれば作中の先生のように「思い込み」で言い切らないでほしいなとは思いますね。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。