娘は4年間も無視されていた!? 重すぎる事実と親として全く気付けなかった自分に大きなショックを受ける【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/17

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
ハルコは1年生の終わりから4年間、ずっと無視されていた。そのことを知り大きな衝撃を受けるナツミ。思い返してみると、ハルコはこれまで特定の友達の名前を言わなかったことに気がつき、激しく後悔する。
――ハルコとりぃの関係について、保護者の前では普通に会話しているのは、親たちの目があると知っているからでしょうか?
そうですね。ハルコもりぃも、それぞれ思惑は違えど利害は一致しており、「この場では普通を装いたい」という思いがあったのだと思います。
――運動会で会ったまやちゃんのお母さんの、いじめにことを「知らなかったんですか?」のセリフが無神経すぎるのですが……物語全体として、セリフ回しで特に気をつけた点を教えてください。
まやちゃんのお母さんは、我が子を大切に思うあまりうっかり無神経な言動、行動をとってしまう。そんな象徴とも言える存在の1人でした。
後々で印象が変わる人物の1人でもあるのですが、この物語は特に「印象が変わる人物」をよく描いていた気がします。
――娘が4年間も無視されていたことに気付けなかったナツミが自分を責めるシーンがありますが、同じ母親としてどんな気持ちで描かれましたか?
このシーンは特に、私自身も特に感情移入して描いた部分でもありました。私もきっと、同じ立場になったら確実に自分を責め、後悔ばかりしてしまう気がします。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。