「無視なんてされてないよ」父親からの質問に笑顔で返す娘。嘘をついている彼女に父親の反応は?【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/18

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
ハルコが学校で本当に無視されていたのかを確かめるため、ナツミと夫のアキオは本人に聞いてみる。しかしハルコは「無視なんてされてない」と笑顔で否定。その笑顔の裏にあるものを知りつつも、アキオは無理に聞き出そうとはしなかった。4年間苦しみ続けててきた娘に親としてしてあげられることは――。
――「無視なんてされてないよ」と笑顔のハルコの表情が悲しいですが、この作画で意識されたことを教えてください。
最も重要な場面の1つでした。
とにかく悟られたくない。知られたくない。「私は普通に楽しい学校生活を送っている」と親に思い込んでほしい。そんな苦しく張り付いた笑顔を、上手く表現できるまで何度も描き直しました。
――感情の動きや沈黙の間を絵で表現する際、どのような点に気をつけて描かれていますか?
読んでくださっている読者の方が、お話の中に入り込んでもらえるように、まるでその様子が目の前に動いて見えるように、精一杯描きました。
――アキオの対応が的確で印象的でした。読者からの反響も大きかったのではないでしょうか?
このエピソードの冒頭は、とにかく悲しくつらく腹立たしい場面が多かったので、コメント欄もつらく悲しい気持ちのものが溢れていたのですが、アキオの登場する回は、安堵の声やほんの少しすっきりしたという内容のものをいただいていた気がします。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。