立てなくなり学校を休んでいた娘が歩けるように。しかし学校に行こうとした玄関で、また座り込んでしまった…【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/20

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
突然歩けなくなり学校を休んでいたハルコだったが、ある日、何事もなかったかのように回復する。「もう学校休まなくていいよね?」と笑顔で言うハルコに戸惑いを隠せないナツミ。ところが登校しようとした瞬間、再び立ち上がれなくなってしまう。
――書籍化が決まったときのご自身の心境と、ご家族の反応を教えてください。
信じられない……という気持ちが最初に来た気がします。
直後に、ただただ嬉しい、身に余る光栄だと感じたのと、夫はとにかく喜んでくれて、書籍の準備に集中できるようにたくさんサポートをしてくれました。
――SNS連載時と書籍化後で、読者の反応に違いはありましたか?
元々の読者の方からは、書籍限定の「りぃちゃん」視点でのお話にたくさんの反響をいただけました。「りぃちゃん」への印象は連載時とは本当に一変したと思います。
また、一度全てのお話を読み終わっているのに、「1冊の本として家においておきたい」「我が子が大きくなったら読ませたい」と購入してくださった読者の方もたくさんいて本当に嬉しかったです。
――本作がご自身の創作観に与えた影響はどんなところでしょうか?
視点を変えると真実が違って見える。という描き方は、次作にも大きな影響を与えました。
一方では悪人に見えても、本当はこう考えていたかもしれない。結果はこうなってしまったけれど、本当は違う結果を求めていたのかも知れない……というのは創作に関わらず、実際の人間関係においても「相手を決めつけない」という想像力として備わった気がします。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。