学校に行けず泣き叫んだ娘。詳しい事情がわからないながらも彼女の過ごした4年間を思い、母親は押しつぶされそうになる【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/21

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
「何もわかっていない」「学校に行きたい」と感情をあらわにして泣いて訴えたハルコは、作り笑顔すら見せなくなり自室にこもってしまった。そんな娘の姿を見てナツミは、母親としてこれまで何もしてこなかった自分を責める。
――ハルコもナツミも追い詰められるエピソードなのですが、どのような思いで描かれていましたか?
このお話の中で、最も「いじめられている」という現実と向き合ったシーンでした。
絶望や、先が見えない苦しみ、爆発する感情を描くために、描く手も気持ちも大きく震えていた気がします。
――被害者、加害者、その親、というそれぞれの視点の違いなどは意識されましたか?
こうしたテーマのお話を書くと、どうしても「我が子が被害者になるかも」という目線で読んでしまいますが、いつだって被害者とは限らない。誰しも加害者に、加害者の親になり得る。というメッセージも込めて描いてもいたので、それが伝わったのか、「自分や我が子が加害者になるかもしれない」と想像を巡らせてコメントをくださる読者の方もたくさんいたように思います。
――さやけんさんご自身で、心を閉ざされてしまったエピソードはありますか?
子どものころに親に心を閉ざそうとしたことは何度かありましたね。大人になった今はありませんが、これから子どもに対して、もしかしたら、あるかもしれませんね……!
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。