娘が学校に行きたがる理由は、毎日ちゃんと無視される必要があるため? 事の根深さを悟った父親が動き出す【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/22

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
ほとんど話さなくなったハルコに、父親のアキオは静かに寄り添い「学校に行きたいか?」と問いかける。するとハルコが語ったのは「毎日ちゃんと無視されに行かないとそれだけじゃ済まなくなる」という衝撃的な言葉だった――。
――「ハルコは学校に行きたいか?」という問いかけにハルコが驚いた表情を見せる場面が印象的です。これは父親に責められると思っていたからでしょうか?
そうですね。「学校に行きなさい」と言われるんじゃないかとか、「何があったのか」とかを聞かれだろうと当然想像していたはずですし、「学校に行きたい」なんていう自分の嘘は当然ばれているだろうと諦めていたら、まさかその言葉を肯定されて質問に変えられてしまうとは思ってはいなかったのではないでしょうか。
――このエピソードで特に表現したかった描写や難しかったシーンなどがあれば教えてください。
アキオの言動は想像を超えてくるものが多かったので感情移入して描くのは難しく、「アキオならどうするか」を考える材料が少ないため難しいキャラクターでした。
ですがアキオの存在は、この物語を解決に導くために最も重要とも言える存在でもあったので、キャラクターデザインは地味ではあるのですが、できるだけ読者の方に強く印象づくように描くことに気を配りました。
――ご自身が同じ境遇に立った場合、どのように対応されると想像しますか?
とにかく夫婦や家族で話し合うと思います。あと、普段から周りの友達やご家族と関わりを持つようにしておきたいです。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。