娘が受けているいじめの情報を集めるため、事情を知っていそうなクラスメイトの家を訪問。その母親から語られたことは…【漫画家インタビュー】
公開日:2025/6/23

ハルコが笑顔で通う学校は、実は孤独な闘いの場だった。娘のハルコが学校でいじめられているという噂を、息子のフユタがナツミに話すところから物語が始まる。娘の様子を見ていくうちに疑念は確信へと変わっていき、そして徐々に、加害者と被害者の境界が揺らいでいく複雑な事態であることがわかっていきーー。娘が学校で受けているいじめと向き合う家族の奮闘を描いたコミックエッセイ『家族全員でいじめと戦うということ。』(KADOKAWA)。著者であるさやけんさんにお話を伺った。
ハルコの心の叫びに向き合おうと決めた両親。父親のアキオはいじめの発端を探るため、クラスメイトの母親に連絡を取り、ナツミと共に話を聞きに行く。その母親は自分の子どもはいじめに関与していないと主張しつつ、ひとりの子どもの名前を出した。
――「親同士のつながり」もテーマの一つとして登場しますが、さやけんさんはどのようなスタンスで付き合っていますか?
子どもたちが保育園の頃は、ママ友付き合いというものが煩わしいものだという思い込みから、ぼっちを固く貫いていましたが、最近は習い事などを通じて保護者同士の会話や付き合いも自然に増えてしまいました。
そのおかげか普段見えない子どもの学校での姿や、みんなからの印象を聞く機会も増えて、一層育児が楽しくなり、子どもたちのことをさまざまな視点から見ることが増えた気がします。
子どもや学校生活に関する意見交換ができるという点では、親同士のつながりはあったほうが良いものだと今は感じています。
――ナツミとアキオが話を聞きにいったまやちゃんのお母さんのように、いじめを傍観する人も現実にも少なくないと思いますが、ご自身の周りにいた場合、どのように接していくと思いますか?
どうでしょうか……。
責めたり問題提起はせず、表面的には仲良く付き合うかもしれませんし、あいさつ程度にとどめて、できるだけ関わらないかもしれませんが……。
大体は、どんな相手でも当たり障りなく付き合いを続ける気がします。
――いじめに対し、見て見ぬふりをしてしまうことも人間の感情として理解できますが、本作を描いたことでご自身の意識に変化はありましたか?
「傍観者」も加害者と描かれることが多いですが、こうして掘り下げて感情移入して描いていると、見て見ぬふりをしてしまうというのも一種の「被害者」だとも思えました。
笑顔の裏に隠された4年間の孤独――。自分の子どもがいじめを受けて苦しんでいることに気がついたとき、本人や学校、いじめをする子どもに、あなたはどう向き合うだろうか。